三界(読み)さんがい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

三界
さんがい

仏教の宇宙論で,人々がその中にいる迷いの世界を3種に分けたもの。欲界,色界,無色界の3種の世界。 (1) 欲界とは淫欲と食欲がある衆生の住む世界で,地獄,餓鬼,畜生,修羅,人,天の6種の世界のこと。 (2) 色界とは「物質的な世界」の意味で,淫欲と食欲の2欲を離れている衆生の住む世界。ここには清らかで純粋の物質だけがある。 (3) 無色界とは物質的なものから完全に離れた衆生の住む世界。そこには物質が全然存在しない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

さん‐がい【三界】

[名]仏語。
一切衆生(しゅじょう)が、生まれ、また死んで往来する世界。欲界色界無色界の三つの世界。
三千大千世界」の略。
過去・現在・未来の三世。
[接尾]
地名に付いて、遠く離れた所の意を表す。くんだり。「江戸三界」「唐三界
ある語に添えて意味を強める。
「茶は土瓶でこしらへりゃ、一日―余る」〈滑・浮世風呂・四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

さんがい【三界】

仏教思想における世界の空間的構造。またその構造をもつ世界。サンスクリットでトリ・ダートゥtri‐dhātu。三界とは欲界kāma‐dhātu,色界rūpa‐dhātu,無色界ārūpa‐dhātuの三つの界をいう。色とは物質のことである。界と訳されるサンスクリットdhātu‐はもともと〈層stratum〉を意味する。三界のうち最下の層は欲界で,欲望にとらわれた生物のすむ領域である。これは地獄(の生物),餓鬼,畜生,人間,天(神のこと)の5種の生物の居住空間(五趣)からなる(五趣に阿修羅を加えたものを六道(ろくどう)という)。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

さんがい【三界】

[0][1] ( 名 )
〘仏〙 心をもつものの存在する欲界・色界・無色界の三つの世界。仏以外の全世界。三有さんう。 「 -広しといへども五尺の身置き所なし/平家 3
「三千大千世界」の略。
( 接尾 )
地名に付いて、遠く離れた所の意を表す。くんだり。 「江戸-」 「西東にしひがしの神田-にやあおらああるめえとおもふぜ/安愚楽鍋 魯文」 「いかにいたづらすればとていつの便宜に唐-/浄瑠璃・国性爺合戦」
名詞に付いて、その意味を強める。 「茶は土瓶で拵へりや一日-余る/滑稽本・浮世風呂 4

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

三界
さんがい

仏教の世界観で、生きとし生けるものが生死流転(るてん)する、苦しみ多き迷いの生存領域を、(1)欲界(よくかい)、(2)色界(しきかい)、(3)無色界(むしきかい)の3種に分類したものをいう。(1)欲界はもっとも下にあり、性欲・食欲・睡眠欲の三つの欲を有する生きものの住む領域である。ここには地獄(じごく)・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅(しゅら)・人・天の6種の生存領域(六趣(ろくしゅ)、六道(ろくどう))があり、欲界の神々(天)を六欲天という。(2)色界は前記の三欲を離れた生きものの住む清らかな領域をいう。絶妙な物質(色)よりなる世界なので色界の名があり、四禅天に大別される。(3)無色界は最上の領域であり、物質をすべて離脱した高度に精神的な世界である。ここの最高処を有頂天(うちょうてん)(非想非非想処)と称する。[坂部 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

さん‐がい【三界】

[1] 〘名〙
① 仏語。いっさいの衆生の生死輪廻(しょうじりんね)する三種の迷いの世界。すなわち、欲界・色界(しきかい)・無色界をいう。
※万葉(8C後)五・七九四右詩序文「四生起滅方夢皆空 三界漂流喩環不一レ息」
※平家(13C前)三「三界広しといへども、五尺の身置き所なし」
③ 仏語。過去・現在・未来の三世をいう。
④ 三つのさかい。三つの方角。
※海道記(1223頃)鎌倉遊覧「東西北の三界は高卑の山屏風の如くに立廻りて所を餝れり」
[2] 〘接尾〙
① 遠く離れた場所の意を表わす。くんだり。界隈(かいわい)。多くは地名に添えて用いる。「江戸三界」「京三界」「唐三界」「郭(くるわ)三界」「親許三界」など。
※浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)上「かりそめに江戸三がいへ往かんして、いつ戻らんすことじゃやら」
② ある語に添えて、その意味を強める。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「茶は土瓶で拵(こしらへ)りゃ、一日さんがい余る」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の三界の言及

【宇宙】より

…このような上界と下界とをつなぐものとして聖樹,巨木のほかに世界山があり,これらはともにまた世界の中心だと表象されていることも多い。世界が上界,中界,下界の垂直的な三界からなり,上界と下界はそれぞれ複数の層をなしているという考えは,内陸アジア,北アジアに広く分布しているが,この地域のシャーマンの太鼓面に描かれた宇宙像では,ふつう横線の上に上界,下に下界がとくに層位の区分なしに示されている。北アメリカ南西部の諸民族は地下に数層(ふつう4層)の世界があり,先祖はそれらを次々に上って地上に出たという。…

※「三界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

猫バンバン

寒い季節になると多発する、猫が自動車のエンジンルームやボンネットの中に潜り込んでいたのに気付かず発車してしまうという事故を防ぐための動作。自動車を始動させる前にボンネットをバンバンとたたき、猫の鳴き声...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android