精選版 日本国語大辞典 「思入」の意味・読み・例文・類語
おもい‐いれおもひ‥【思入】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 人や物事に深く思いを寄せること。また、その人や物事。執心。
- ② 考えを巡らすこと。また、その考え。思案。もくろみ。みこみ。おもいれ。
- [初出の実例]「しかるにあの仕舞は左りざまにて、ことやうに見ゆ。いはれざる思ひ入なり」(出典:舞正語磨(1658)上)
- ③ 人から受ける信頼。人望。人気。
- [初出の実例]「心ばへよし。人のすく思ひ入おほし」(出典:評判記・剥野老(1662)山本勘太郎)
- ④ 人の表情や風情。特に、演劇で、俳優が、ある場面での心理状態を、無言のうちに動作や姿態、表情で表わすこと。また、その演技。歌舞伎では、「ト思入れ」のようにト書きにし、思入れを演ずる箇所に〇印を用いる。おもいれ。
- ⑤ ( ④から転じて ) 口に出さないで、ある意味を持たせた、やや気どった動作や表情。おもいれ。
- [初出の実例]「思はずきせるを取落して膝に焼痕(やけど)もギックリならで恟(びっく)りの〇(オモヒイレ)を、亭主が見付て」(出典:滑稽本・客者評判記(1811)上)
- [ 2 ] 〘 副詞 〙 思いきり。思うぞんぶん。じゅうぶんに。おもいれ。
おも‐いれ【思入】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① =おもいいれ(思入)①
- [初出の実例]「意(こころ)をつくし思(オモ)ひれを尽して為すゆへ」(出典:談義本・成仙玉一口玄談(1785)四)
- ② =おもいいれ(思入)②
- [初出の実例]「あすこは新造かひでちとおもいれがある」(出典:洒落本・売花新駅(1777)駅路風景)
- ③ =おもいいれ(思入)③
- [初出の実例]「小哥よくうたわるるゆへいよいよおも入ふかし」(出典:評判記・野良立役舞台大鏡(1687)竹中辰之助)
- ④ =おもいいれ(思入)④
- ⑤ =おもいいれ(思入)⑤
- [初出の実例]「通り者は、たばこののみやうに、おもいれありて」(出典:洒落本・遊子方言(1770)発端)
- ⑥ さきざきの見込みをつけること。特に、相場で、先の見込みを立てて売買すること。〔模範新語通語大辞典(1919)〕
- ① =おもいいれ(思入)①
- [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 「に」を伴って用いることもある ) 思う存分。思いきり。おもいり。
- [初出の実例]「にしきの夜ぎ、おもいれおしつけて行」(出典:洒落本・郭中奇譚(1769)弄花巵言)
おもい‐いりおもひ‥【思入】
- 〘 副詞 〙 思いきり。思うぞんぶん。おもいいれ。おもいれ。
- [初出の実例]「疾(と)くに私(わし)が駈出して、思(オモ)ひ入(イ)り恨みも言ひまする」(出典:人情本・恩愛二葉草(1834)初)