六訂版 家庭医学大全科 「急性細気管支炎」の解説
急性細気管支炎
きゅうせいさいきかんしえん
Acute bronchiolitis
(呼吸器の病気)
どんな病気か
細気管支は、気管支が枝分かれし、二酸化炭素と酸素を交換する肺の末梢の
原因は何か
小児、とくに2歳以下の幼児にRSウイルスの感染症として起こる場合が典型的です。ほかのウイルスでも起こることがあり、また成人ではマイコプラズマ感染症による細気管支炎が報告されています。
症状の現れ方
数日続く上気道炎のあと、深い
肺に空気が入ってきても出ていきにくいので、胸部X線像では
検査と診断
症状とX線所見から本症が疑われる場合は、迅速診断検査が可能です。しかし、迅速診断の可能な施設はかぎられています。
RSウイルスによる細気管支炎では有効な抗ウイルス薬がないのが現状なので、必ずしも診断が治療に結びつくというわけではありません。
区別のための検査としては、幼児の場合、喘息と異物の
成人では、胸部CTなどの画像診断が有用です。
治療の方法
最近、幼児のRSウイルスによる細気管支炎に対しては抗ウイルス薬のリバビリンが有効であるという報告もされていますが、明確な結論は現在の段階では得られていません。成人のマイコプラズマによる急性細気管支炎には、マクロライド系抗菌薬が治療に用いられます。しかし、病態の基にはアレルギー反応があるともいわれており、抗菌薬が本当に有効であるという根拠については明確ではありません。
気管支拡張薬や副腎皮質ステロイド薬の効果についても肯定、否定両方の報告がみられます。したがって、治療は、十分な酸素の供給と脱水の防止を行い、経過を観察しながら、これらの薬剤を使うことになります。
基礎疾患がなければ、比較的予後は良好です。
病気に気づいたらどうする
喘鳴を伴う呼吸困難が現れたら、急性細気管支炎、喘息、気道内異物を疑い、鑑別を行うために呼吸器の専門の医療機関を受診します。
成人の場合、喘息が最も多く、急性細気管支炎はまれです。しかし、いずれの疾患でも受診が遅れたり、放置すると生命に関わる病態となるので、必ずできるだけ早く受診することが大切です。
朝野 和典
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報