カプタイン(読み)かぷたいん(英語表記)Jacobus Cornelius Kapteyn

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カプタイン」の意味・わかりやすい解説

カプタイン
かぷたいん
Jacobus Cornelius Kapteyn
(1851―1922)

オランダ天文学者。バーネフェルトに生まれ、ユトレヒト大学で修学。1875年ライデン天文台研究員となり、1878年フローニンゲン大学の天文学・力学教授に就任した。1896年各国の天文台と提携して星野写真の組織的調査を遂行、とくにギルDavid Gill(1843―1914)の写真乾板を資料として1900年に『ケープ写真星表』3巻を刊行した。これには南天45万4875個の恒星の位置、光度、運動が収録された。1906年恒星の統計的研究を計画、全星野から無差別に206区を選択し、各区ごとに含有星数、視等級固有運動を集計した。これにより平行運動をする星団を確認、その平均視差(共同距離)を算定して秒速242キロメートルの高速度星をがか座に発見した(カプタイン星)。また反対方向に流動する二大星流を確認した。これらの統計的処理により1922年恒星集団系の規模を想定したが、それは直径5万5000光年、厚さがその5分の1の扁球(へんきゅう)で、銀河系構造論、統計天文学の開拓者となった。

[島村福太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カプタイン」の意味・わかりやすい解説

カプタイン
Kapteyn, Jacobus Cornelis

[生]1851.1.19. バーネフェルト
[没]1922.6.18. アムステルダム
オランダの天文学者。ユトレヒト大学に学んだのち,ライデン天文台研究員 (1875) 。フローニンゲン大学天文学,力学教授 (77) 。 D.ギルによる南天の観測データに基づいて,1896年に 50万の恒星に関する『ケープ写真掃天星表Cape Photographic Durchmusterungを完成。恒星の固有運動の研究にも力を注ぎ,固有運動の大小から恒星の距離を統計的に求める方法を考案,恒星間には反対方向に流れる二大星流のあることを発見した。晩年は恒星の統計から宇宙の構造を研究,その宇宙観はカプタインの宇宙として知られる。

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