日本大百科全書(ニッポニカ) 「扇ノ山」の意味・わかりやすい解説
扇ノ山
おうぎのせん
鳥取県北東部、兵庫県境付近にある山。標高1310メートル。逆扇形の山形が呼び名となった。大山(だいせん)火山系の火山。中新世の緑色凝灰岩からなる基盤を破って、第三紀末に流紋岩や安山岩が噴出、ついで第四紀初頭の複輝石安山岩溶岩流がこれらを覆い、アスピーテ型の山容を示す。頂上付近の穴ヶ原はその後の噴火口と推定される。植生は渓谷部のトチノキ、サワグルミ、カツラなどは別として、頂上部までにみられたブナ、ネマガリダケなどの残存原始林は伐採で少なくなった。山腹には菅野(すがの)のミズゴケ湿原があり、河谷にはハコネサンショウウオが生息する。河合谷高原(かわいだにこうげん)はスキー、キャンプ、山菜採集の適地で、県営放牧場があり、好展望地。氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園の北部を構成する。
[岩永 實]