氷ノ山後山那岐山国定公園(読み)ひょうのせんうしろやまなぎさんこくていこうえん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

氷ノ山後山那岐山国定公園
ひょうのせんうしろやまなぎさんこくていこうえん

中国山地の東部、兵庫・鳥取・岡山の県境一帯の山岳を中心とした国定公園。1969年(昭和44)指定。1983年拡大指定。面積488.03平方キロメートル。うち氷ノ山(須賀ノ山(すがのせん)、1510メートル)、扇ノ山(おうぎのせん)(1310メートル)の原形は、古生層や第三紀末の安山岩類を破って噴出した大山(だいせん)系の火山で、新安山岩類からなり、前者は鐘状火山、後者は楯状(たてじょう)火山である。後山(1344メートル)や南縁に大断層崖(がい)をもつ那岐山(1255メートル)は、準平原面上の残丘とみられる。これらを源流とする河川の谷頭侵食部には、音水(おんずい)、芦津(あしづ)の渓谷や滝が発達する。植物ではブナ帯、クロモジネマガリダケ群落ツクシシャクナゲキャラボク、動物ではイヌワシツキノワグマ、サル、ヤマネなどが知られている。氷ノ山、後山、那岐山とも古来山岳信仰の対象となり、神霊伝承をもつ。ことに後山は西大峯(にしおおみね)といわれた近世以来の修験道場(しゅげんどうじょう)として知られる。国道29号、373号の改修中国自動車道開通に伴い、登山スキー適地として観光地化が進んでいる。

[岩永 實]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

氷ノ山後山那岐山国定公園
ひょうのせんうしろやまなぎさんこくていこうえん

兵庫県,岡山県,鳥取県の3県にまたがる氷ノ山を中心に山岳,高原,渓谷美を特色とする自然公園。面積 488.03km2。 1969年指定。後山 (1344m) は山岳仏教の霊地で女人禁制の山,山頂に延命山道仙寺がある。公園一帯には自然林が見られ,特にブナが多い。氷ノ山山頂付近はブナ,シオジ,スギ,キャラボクなどの群落が見られ,古生沼はヤチスゲ,アイバソウなどの湿原植物で覆われている。三川山,後山にはツクシシャクナゲがある。船越山腹の南光坊瑠璃寺は行基開山で,本堂の奥の渓谷沿いに野猿公園がある。美作市の宮本宮本武蔵の出生地といわれる。

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