鳥取・兵庫県境にそびえる山。山頂部は鳥取県側にあり,標高1310m。鳥取平野からみて扇を逆さにしたような山形をなすところから,この名がある。第三紀中新世の緑色凝灰岩などの基盤を破って,鮮新世末に流紋岩や安山岩が噴出,その上に第四紀の初めに複輝石安山岩が溶岩流となっておおっている。しかし生成が古いので,山体は袋川をはじめ大小の川によって深く開析されている。日本海に直接面するため山陰でも有数の深雪地であり,谷奥には木地師や落武者の集落が多い。雨滝などの景勝,河合谷高原などのキャンプ場,スキー場があり,1969年に氷ノ山後山那岐山(ひようのせんうしろやまなぎさん)国定公園に指定された。
執筆者:藤原 健蔵
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鳥取県北東部、兵庫県境付近にある山。標高1310メートル。逆扇形の山形が呼び名となった。大山(だいせん)火山系の火山。中新世の緑色凝灰岩からなる基盤を破って、第三紀末に流紋岩や安山岩が噴出、ついで第四紀初頭の複輝石安山岩溶岩流がこれらを覆い、アスピーテ型の山容を示す。頂上付近の穴ヶ原はその後の噴火口と推定される。植生は渓谷部のトチノキ、サワグルミ、カツラなどは別として、頂上部までにみられたブナ、ネマガリダケなどの残存原始林は伐採で少なくなった。山腹には菅野(すがの)のミズゴケ湿原があり、河谷にはハコネサンショウウオが生息する。河合谷高原(かわいだにこうげん)はスキー、キャンプ、山菜採集の適地で、県営放牧場があり、好展望地。氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園の北部を構成する。
[岩永 實]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
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