手妻人形(読み)テヅマニンギョウ

デジタル大辞泉 「手妻人形」の意味・読み・例文・類語

てづま‐にんぎょう〔‐ニンギヤウ〕【手妻人形】

手遣い人形の一。引き糸により、顔面変化五体一部の早替わりなどのできる人形からくり併用で、元禄享保(1688~1736)ごろにかけて流行し、大坂の人形遣い山本飛騨掾やまもとひだのじょうが有名。

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精選版 日本国語大辞典 「手妻人形」の意味・読み・例文・類語

てづま‐にんぎょう‥ニンギャウ【手妻人形】

  1. 〘 名詞 〙 糸あやつりやからくりによらないで、手で操縦する人形。また、その人形をあやつること。元祿一六八八━一七〇四)以前、大坂の人形遣い山本飛騨掾によって代表され、人形の衣装背部のさけ目から片手を差し入れ、胴体内のぜんまい仕掛けで人形の顔面などを動かした。
    1. 手妻人形〈絵本菊重ね〉
      手妻人形〈絵本菊重ね〉
    2. [初出の実例]「ゑれきてるより出る火は、〈略〉関捩(からくり)手づま人形と一事(ひとつこと)に覚え」(出典:滑稽本・風来六部集(1780)放屁論後編)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「手妻人形」の意味・わかりやすい解説

手妻人形
てづまにんぎょう

手遣い人形の一種で,手妻 (手品) のような技をみせる人形の意。引き糸で顔が幾度も変る仕掛けをもつ人形や,1人の遣い手が,早業芸で複数の人形を遣うことをいう。元禄 (1688~1704) 頃流行。代表的な遣い手に山本飛騨掾がいた。顔面や五体の変化,目の開閉など手妻の機能は,現在の文楽人形にも生かされている。

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世界大百科事典(旧版)内の手妻人形の言及

【人形浄瑠璃】より

…人形の下から手を突っ込んで遣ういわゆる一人遣いから二人遣い,三人遣いの3方法がある。1703年(元禄16)に《曾根崎心中》のお初を遣った辰松八郎兵衛は突込み人形の名人といわれるが,彼はこのほか,片手人形や手妻(てづま)人形を遣ったという。片手人形は,人形の胴の背後から手を入れて片手で遣ったところから名付けられたが,ときには両手で2体,3体,5体,7体の人形を遣った。…

※「手妻人形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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