(読み)フツ

デジタル大辞泉 「払」の意味・読み・例文・類語

ふつ【払〔拂〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]フツ(漢) ホツ(呉) [訓]はらう
はらいのける。はらう。「払拭ふっしょく払底
やみをはらうように空が明ける。「払暁
難読秉払ひんほつ払子ほっす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「払」の意味・読み・例文・類語

はらいはらひ【払】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「はらう(払)」の連用形の名詞化 )
  2. 払うこと。除去すること。
  3. 除去するのに用いる道具。
    1. (イ) うち払いの布。塵はたき。
      1. [初出の実例]「正月分 御払」(出典:吾妻鏡‐正元二年(1260)三月二八日)
    2. (ロ) 髪やひげなどをとり除く物。剃刀
      1. [初出の実例]「三十三枚のくしとはらいをとりいだし〈略〉夫婦ともにわけけづり」(出典:幸若・いふき(室町末‐近世初))
  4. 不用の品物を売り払うこと。
  5. 金銭を渡すこと。代金を支払うこと。
    1. [初出の実例]「払(ハラ)ひの時分、書出しに驚く事なり」(出典浮世草子日本永代蔵(1688)四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「払」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

(旧字)拂
人名用漢字 8画

[字音] フツ・ヒツ
[字訓] はらう・のぞく・はなつ・もとる

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は拂に作り、弗(ふつ)声。弗に否定の意があり、その動作にあらわれることを払という。〔説文〕十二上に「するなり」とあり、〔説文通訓定声〕に「俗に之れを拍と曰ふ」とみえる。拍は強くうちはらう意である。

[訓義]
1. はらう、うちはらう、なげうつ。
2. のぞく、さる、とる、ぬぐう。
3. はなつ、ふるう。
4. もとる、ためる、ねじる、さからう。
5. おおう、せまる、いたる。
6. 怫と通じ、いかる、けしきばむ。
7. 弼(ひつ)と通じ、たすける。
8. 仏と通じ、ほのか、にかよう。
9. 国語で、支払う、はらい除く。

[古辞書の訓]
名義抄〕拂 ハラフ・ヒラク・スツ・ノゴフ・マネク・ヲサム・ウツ・サル・ノゾク・フセグ・ウゴク・モトル 〔字鏡集〕拂 モトル・フセグ・サル・ヲク・サフ・ノゴフ・ヲトル・ヲサム・ハラフ・ウゴカス・カムガフ・ヒラク・ウゴク・タダス

[語系]
拂piutは拍peak、搏pakと声近く、そのうちはらう音を示し、同系の語である。

[熟語]
払士払臣払輔・払衣・払意・払・払鬱・払燕・払逆・払去・払暁・払巾払乎払忤・払耳・払辞払鬚・払袖払曙払拭払晨・払塵・払世・払性・払席・払然・払奪払旦・払地・払底払撤・払天・払払・払霧・払面払膺・払乱払掠・払慮払戻・払子
[下接語]
鬱払・揮払・撃払・牽払・灑払・徐払・除払・拭払・振払・整払・洗払・剪払・掃払・排払・披払・風払・摩払・弄払

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android