出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
獣の毛などを束ね、これに柄(え)をつけた仏具。サンスクリット語のビヤジャナvyajanaの訳。単に払(ほつ)、あるいは払麈(ほっす)ともよぶ。葬儀などの法要のとき、導師を務める僧が所持するが、元来はインドで蚊などの虫を追い払うために用いたもので、のちには修行者を導くときにも利用される。『摩訶僧祇律(まかそうぎりつ)』などによれば、比丘(びく)(僧)が蚊虫に悩まされているのを知った釈尊は、羊毛を撚(よ)ったもの、麻を使ったもの、布を裂いたもの、破れ物、木の枝を使ったものなどに柄をつけて、払子とすることを許したという。その材料に高価なものを使用することは、他人に盗みの罪を犯させるとの理由から禁止された。中国では禅宗で住持の説法時の威儀具として盛んに用いられた。日本でも鎌倉時代以後に禅宗で用いられるようになり、真宗以外の各宗で用いられる。
[永井政之]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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