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技術史観 ぎじゅつしかんtheory of technological development

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

技術史観
ぎじゅつしかん
theory of technological development

歴史的変動を社会学の立場から論じる場合に,社会変動の起動力を,労働手段の体系としての技術要因に求め,その質的な変化の過程として歴史を考察する立場をいう。 W.ゾンバルト,W.F.オグバーンはこの観点を強調した。工業化論の系譜のうちにも,技術史観の影響がみられるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

技術史観
ぎじゅつしかん

人間社会の歴史的発展を究極的に決定している要因は技術の進歩であるという見方。この歴史観は少なくとも次の2点を前提としている。(1)思想文化や社会制度は民族や地域によってそれぞれ固有の性格をもっていても、技術はどんな社会にも共通して取り入れられるという普遍的性格をもっていること、(2)思想文化や社会制度は盛衰の過程を繰り返しても、技術は累積的に進歩発展の過程をたどっていること、である。したがって、技術が各地に伝播(でんぱ)し普及していけば、さまざまな社会は共通した構造上の特徴を備えるようになるという、収斂(しゅうれん)論的な見方がそこから出てくる。また、新技術の発明と普及が人間の生活様式、社会関係や社会構造、文化や思想の飛躍的変化を引き起こすという観点も、そこから派生してくる。農業革命→産業革命→エレクトロニクス革命という文脈で現代社会の動態を「第三の波」の到来とみたトフラーの歴史観は、その例としてあげられる。
 また、オグバーンのように、社会変動における発明の役割を強調し、発明が物質文化の発展をもたらすのに対して、思想や社会制度のような非物質文化における変動は技術のような物質文化の変動よりもつねに遅れ、そこに発展のギャップが絶えず生ずるという考え方も、技術史観の一変形といえる。[石川晃弘]
『富永健一著『社会変動の理論』(1965・岩波書店)』

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