押切る(読み)オシキル

デジタル大辞泉 「押切る」の意味・読み・例文・類語

おし‐き・る【押(し)切る】

[動ラ五(四)]
押しつけて切る。「厚い紙を―・る」
反対抵抗・困難などを退けて目的を達しようとする。「反対派意見を―・って実行した」
切る」を強めていう語。断ち切る。
「自らもとどり―・りて」〈太平記・二九〉
[類語]押し通す粘り抜く頑張る徹する貫く一貫終始貫徹通す徹底終始一貫首尾一貫

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「押切る」の意味・読み・例文・類語

おし‐き・る【押切】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 物を押して切る。物を他の物に押しつけて力を入れて切る。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「こしのさしぞへするりとぬき、ししむら四五寸をしきりて」(出典:御伽草子・酒呑童子(室町末))
  3. 押切り印を押す。割り印を押す。
    1. [初出の実例]「其届を見て押切帳へ出立之月日を記押切、帰府之節右同断、并木銭帳之帰府之日を見て押切也」(出典:日本財政経済史料‐四・官制・勘定所職制・勘定所分課・天明五年(1785)九月)
  4. 反対や無理など困難な条件を押しのけてする。
    1. [初出の実例]「をしきるべき軍場(いくさば)をも逃げくづして」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
  5. (ろ)を押し続けて、波をのり切って船を進める。
    1. [初出の実例]「千波万波をおしきって〈略〉もろこしの地にもつきにけり」(出典:浄瑠璃・国性爺合戦(1715)千里が竹)
  6. 相撲で、相手を押して土俵の外へ出す。
    1. [初出の実例]「太刀の突張らうとする腕を押へ、右筈で何の苦もなく押切(オシキ)った常陸貫祿もさることながら」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉常陸、梅の爛熟時代)
  7. ( 「おし」は接頭語 ) 「切る」を強めていう。断ち切る。ぷつりと切る。
    1. [初出の実例]「汁にあへしらひて柚(ゆ)をしきりてうちかざしたるぞ」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)

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