合資会社(読み)ごうしがいしゃ(英語表記)limited partnership

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

合資会社
ごうしがいしゃ
limited partnership

持分会社のうち無限責任社員有限責任社員とからなる会社。無限責任社員は会社債務につき会社債権者に対して直接無限責任を負い,会社の業務執行の任にあたる。有限責任社員は日常の経営には参加せず,かぎられた監視権をもつのみで,かつ単に利益の分配にあずかるにとどまる。また会社債務については会社債権者に対し直接責任を負うが,その責任範囲は出資額を限度とする。合名会社の無限責任制度に有限責任制度を導入した会社形態で,合名会社よりは出資者の範囲を広げることができるが,株式会社のように出資者全員が有限責任ではないため,資本調達には限界がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

合資会社【ごうしがいしゃ】

会社債務につき無限責任を負う社員と,出資額を限度とする有限責任を負う社員各1名以上からなる会社。前者は業務執行権,代表権を有し,労務・信用の出資も許されるのに対し,後者は監視権以外の権利・義務をもたず,財産出資に限られる。合資会社は,無限責任社員たる企業者の事業に,資本家が有限責任社員として資本を提供して利益の分配にあずかる共同企業形態であるが,なお人的結合の色彩が強く,合名会社と同じく人的会社に属する。2005年の会社法では,持分会社のうち無限責任社員と有限責任社員とが存する会社として規定される(576条以下)。
→関連項目会社代表社員

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ごうしかいしゃ【合資会社】

有限責任社員と無限責任社員より構成される会社(商法146条以下)。無限責任社員の地位は,合名会社の社員と同様であり,会社債務について会社債権者に対して直接に連帯無限の責任を負い,原則として会社の業務執行権,代表権を有する。有限責任社員は,会社債務について会社債権者に直接連帯責任を負うが,その責任は財産出資の価額を限度とする。有限責任社員は,無限責任社員とは異なり,労務出資は認められない。また,会社の業務執行権,代表権を有しえず,定款変更等会社の基本的事項の意思決定に関与しうるほかは,無限責任社員の会社経営を監視する権利を有するにすぎない。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

ごうしがいしゃ【合資会社】

無限責任社員と有限責任社員とで組織される会社。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

合資会社
ごうしがいしゃ

会社の債務について、会社債権者に対して連帯して直接無限の弁済責任を負う直接無限責任社員と、会社債権者に対して連帯して直接の弁済責任を負うが、出資額を限度とする責任しか負わない直接有限責任社員とで構成される、二元的組織の会社である(会社法576条3項、580条)。合名会社・合同会社とともに、持分(もちぶん)会社と総称される。合資会社を経済的にみれば、以下のような関係が成り立つ。有限責任社員が資本を提供し、無限責任社員とともに事業を行う。有限責任社員はその事業から生ずる利益の分配にあたる。仮に会社財産をもって債務を弁済できないときには、有限責任社員は出資額を限度として責任を負うのみであるが、無限責任社員は無限の弁済責任を負う。すなわち、出資者である地位と非出資者である地位とが分離した、原初的な会社形態である。[戸田修三・福原紀彦]

社員構成

無限責任社員と有限責任社員とからなる。ただ、株式会社とは異なり全額払込制がとられていない。よって、有限責任社員は会社成立までに出資額全額を出資する義務はない(会社法578条)。仮に会社財産をもって会社債務を完済できないときには、定款記載の社員の出資額(同法576条1項6号)とすでに持分会社へ履行した出資額との差額について弁済義務を負う(同法580条2項)。なお、有限責任社員が、自分が無限責任社員であると誤認させるような行為をしたときには、それによって誤認して取引を行ってしまった相手方に対して、無限責任社員と同一の責任を負わされる(同法588条1項)ことに注意を要する。[戸田修三・福原紀彦]

業務執行・代表

旧商法時代では、無限責任社員のみが業務執行にかかわり、有限責任社員は業務執行の監視権しかなかった。2005年(平成17)制定の会社法においては以下のように改正された。原則として各社員が業務執行の権利を有し義務を負うが、定款の定めにより一定の社員のみを業務執行社員とすることができる(会社法590条1項)。すなわち、原則的に無限責任社員にも有限責任社員にも業務執行権が存する。業務執行社員が複数存在するときには、その過半数をもって業務を決する(同法590条2項、591条1項)。なお、非業務執行社員には業務執行の監視権が存在する(同法592条)。業務執行社員には善管注意義務・忠実義務・その他取引規制が課される(同法593条~596条)。会社を代表するのは原則的に、業務執行社員である(同法599条)。ただ、定款または定款の定めに基づく社員の互選によって業務執行社員のなかから代表社員を定めることができる(同法599条1項・3項)。代表権は包括的で不可制限的である(同法599条4項・5項)。[戸田修三・福原紀彦]

持分の譲渡

社員である地位を持分という。原則的に、社員がその持分を譲渡し、社員である地位から離脱するには、他の社員全員の同意が必要である(会社法585条1項)。ただし、業務を執行しない有限責任社員の持分は、業務執行社員全員の同意があれば、他人に譲渡することができる(同法585条2項)。[戸田修三・福原紀彦]
『福岡法務局商業・法人登記研究会編『LLCとLLPの登記――合名・合資会社を含む』(2007・日本加除出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

ごうし‐がいしゃ ガフシグヮイシャ【合資会社】

〘名〙 無限責任社員と有限責任社員とからなる会社。日常の会社経営にあたるのは前者である。
※朝野新聞‐明治二六年(1893)六月九日「三井銀行の如きは其組織を合資会社となすことに決し」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の合資会社の言及

【会社】より

…第一銀行から第百五十三銀行に至る国立銀行は株式会社としての実質を備えていた。また福沢諭吉の指導で1869年1月に設立された丸屋商社(のちの丸善株式会社)は,実質的に合資会社であった。国立銀行条例,取引所条例(1887),私設鉄道条例(同)などの特別法のほかは統一的な会社法を欠いたままに,会社の設立は活発となり,87年には会社数が2000社を上回り,翌年には資本金合計が1億円を超した。…

※「合資会社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

ブラックフライデー

米国などで、感謝祭(11月第4木曜日)の翌日の金曜日のこと。休日とする職場が多く、商店にとってはクリスマス商戦の初日に当たる。「ブラック」は、買い物客による混雑、または黒字を連想させることから。→サイ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

合資会社の関連情報