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政党を基礎として組織される内閣。総理大臣以下ほとんどの閣僚が議会、とくに下院(衆議院)における多数派政党の所属員によって占められる内閣である。基礎となる政党が単一の場合は単独内閣、複数の場合は連立内閣とよばれる。今日の議会政治は政党を中心に行われるため、議院内閣制をとる国(イギリス、日本など)では、内閣は必然的に政党内閣となる。議会に対する信任は、その議会に多数を占める政党の支持にほかならないからである。政党内閣の長所としては、第一に、一定の政党が選挙において公約した政策を実行することによって政治的責任を果たし(政治責任の明確さ)、国民は自己の選んだ政党(員)に投票することによって希望する政党の内閣を成立せしめうる点(民主性)、第二に、内閣が議会に多数を占める政党を基礎としているため、その政策の立法化・実施において円滑である点があげられる。
日本における政党内閣は、1898年(明治31)に成立した第一次大隈(おおくま)内閣(いわゆる隈板(わいはん)内閣)が最初のものである。その後、大正期後半から昭和初期にかけて政党内閣が続いたが、この時期の政党内閣はいずれも陸・海両相を政党員から選ばず、外相も多くは官僚から任命し、その意味で完全な政党内閣とはいえなかった。明治憲法下での政党内閣は五・一五事件(1932)で姿を消したが、第二次世界大戦後、政党政治が復活し、議院内閣制をとる日本国憲法が制定されたため、今日ではすべての内閣が政党内閣となっている。
[小松 進]
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…この過程で名望家政党から大衆組織政党への脱皮が進み,トーリーは保守党,ホイッグは自由党と名称も変え,現代的な二大政党制が成立する。同時に,選挙によって多数派となった政党が,党首を首班とする内閣を通して,選挙公約に掲げた一連の政策を実施する傾向,つまり政党内閣化が進んでいく。これは議会人個々の見解よりも党組織の意向と選挙民の選択が,政府と政策の命運を直接に決定することを意味する。…
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【欧米における歴史】
このような形態の政治が発達してきたのは,およそ18世紀から19世紀にかけての時期で,議会政治の母国イギリスでは,17世紀後半来のトーリー党とホイッグ党の対立のなかから,議会内の多数党が政府を担当するという慣行がしだいに発展した。18世紀前半期に下院の多数派の支持を確保しつつ内閣をとりしきったホイッグ党のR.ウォルポールや,18世紀末から19世紀初頭にかけての時期に,総選挙での勝利を背景として,のちに〈政党内閣制の明確な出発点を画す内閣〉と評された内閣を担ったW.ピット(小)などの経験のうえに,議会内の多数党の支持を政権の基礎とする議院内閣制が確立してきた。他方アメリカでは,反政党主義的立場に立ち,政党ぬきの政治運営を構想した建国の父たちの意図に反して,第2代大統領アダムズが連邦党を背景にして登場して以来,すべての大統領は民主党,共和党の二大政党のいずれかに属し,また連邦議会では,議席のほとんどすべてが二大政党によって占められ,多数党が上院では常任委員会委員長,下院では議長と常任委員会委員長のポストをすべて手中にし,議会運営の主導権を握ってきた。…
…藩閥官僚の側では明治憲法発布の直後に宣言した〈超然主義〉による政治運用の方針を修正し,また,政党の側でも藩閥官僚への接近がはかられることになった。
[政党内閣の台頭]
日清戦争の勃発を機に政党は全面的に政府の施策を支持し,戦争遂行に協力する姿勢を示し,戦後には,自由,進歩(改進党の後身)両党のいずれかが与党となり,党首的存在である板垣退助,大隈重信らが入閣するという政府形態をとった。軍備拡充や産業育成などを中心とする日清戦後経営の実現のためには各種の増税を必要とし,それには衆議院での同意が不可欠の条件となった。…
…15年3月の第12回総選挙では第2次大隈内閣の野党として大敗を喫し第二党に転落したが,党内とりまとめにも手腕を発揮し,次の寺内正毅内閣では是々非々主義の立場を示しながらも外交調査会に参加するなど準与党の地位につき,17年4月の第13回総選挙で第一党に返り咲いた。 18年夏の米騒動では事態を静観し,寺内辞任のあとを受けて,政党政治家として最初の首相に指名され,陸・海・外3相を除く閣僚に政友会員をあてる最初の政党内閣を9月29日に組織した。世論は爵位をもたず衆議院に議席をもつ首相の初めての出現を〈平民宰相〉と呼んで歓呼して迎えた。…
※「政党内閣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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