立憲政友会と並ぶ昭和前期の二大政党の一つ。1927年(昭和2)6月1日、憲政会と政友本党の合同により結成。総裁浜口雄幸(はまぐちおさち)、顧問若槻礼次郎(わかつきれいじろう)、床次竹二郎(とこなみたけじろう)。政綱に「議会中心政治の徹底」、「各種社会政策を実行」することを掲げた。28年2月の第1回普通選挙で与党政友会の217名に対して216名を当選させ勢力伯仲したが、8~9月床次派ら35名が脱党。29年7月田中義一(ぎいち)内閣の後を受けて浜口雄幸内閣を実現、緊縮財政と協調外交を二大方針に掲げ、産業合理化、金解禁を推し進めるとともに軍備縮小を図った。30年2月の総選挙では273名の絶対多数を得、ロンドン軍縮会議では軍部を抑えて条約締結に成功し、政党内閣の実質を示した。しかし軍縮条約にからむ統帥権干犯(とうすいけんかんばん)問題で浜口首相が右翼に狙撃(そげき)され、31年4月、総裁・内閣は若槻にかわった。この前後から大恐慌の影響で内政、外交とも行き詰まり、満州事変勃発(ぼっぱつ)後の12月安達謙蔵(あだちけんぞう)らの協力内閣運動によって若槻内閣は崩壊した。犬養毅(いぬかいつよし)政友会内閣下での32年2月の総選挙では146名に激減した。五・一五事件で政党内閣期に終止符が打たれると斎藤実(まこと)・岡田啓介(けいすけ)の両内閣には準与党的立場をとり、33年10月からの政友会との連携運動(政民連携運動)には一時熱意を示したが、倒閣には消極的であった。34年11月若槻総裁が辞任、翌年1月町田忠治(ちゅうじ)が総裁となり、36年2月、37年4月の総選挙ではそれぞれ205名、179名を当選させ第一党となったが、36年の二・二六事件後は軍部の圧力に屈し、40年の民政党議員斎藤隆夫(たかお)の反軍演説問題では斎藤を除名処分とした。同年近衛文麿(このえふみまろ)の新体制運動が起こり、7月永井柳太郎(りゅうたろう)ら新体制積極派の脱党を機に、近衛新体制に同調し、8月15日に解党した。
[由井正臣]
『加藤政之輔監修『立憲民政党史』上下(1935・立憲民政党史編纂局/復刻版・1973・原書房)』▽『白木正之著『日本政党史 昭和篇』(1949・中央公論社)』▽『升味準之輔著『日本政党史論 第5、6巻』(1979、80・東京大学出版会)』▽『粟屋憲太郎著『昭和の歴史 6 昭和の政党』(1983・小学館)』
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昭和前期の政党。憲政会と政友本党の合同によって1927年(昭和2)6月1日に成立。総裁は浜口雄幸(おさち)。29年7月浜口内閣を実現。緊縮政策を実施して金解禁を断行した。30年2月の総選挙では273人の絶対多数を獲得,4月には海軍の一部などの反対を抑えてロンドン海軍条約締結に成功。11月に浜口が右翼に狙撃され,31年4月に総裁・首相を若槻礼次郎と交代。第2次若槻内閣は満州事変の勃発もあって内政・外交ともに行き詰まり,12月総辞職。内相安達謙蔵らが脱党した。40年2月斎藤隆夫の反軍演説問題では除名を支持。近衛新体制運動に主流派は消極的であったが,新体制推進派の脱党を契機に8月15日解党した。
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…これは20年代前半から第2次護憲運動期をとおして,政友本党が期待した大地主を中心とした従来の政友会の地方基盤が変容したこと,および20年代後半に政友会(積極財政,強硬外交)と憲政会・民政党(緊縮財政,協調外交)の二大政党制が形成されるが,床次のリーダーシップの欠如もあり政友本党が独自の路線を形成することができず,政権獲得のための術策に終始したことによる。27年4月田中義一が政友会内閣を組織すると憲政会との合同運動が積極化し,6月両党が合同して立憲民政党を組織した。【伊藤 之雄】。…
…昭和前期に政友会に対抗して二大政党制を形づくってきた政党。正称は立憲民政党。1927年2月に憲政会と政友本党は提携して憲本連盟を結び,それ以来,両党の間に新党を樹立する気運が高まって,この年の6月1日,合同して生まれたのが民政党である。…
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