日本の古代・中世の文書で,一種の推薦状。〈きょじょう〉ともいう。律令制下では,おもに一定の能力を有する学生などの官人任用を貢挙する際に発給されたが(《職制律》),その解体期には〈鴻儒名医の子孫〉というだけで発給されるなど,私的色彩を強めた(《類聚三代格》寛平七年格)。中世では,下位者が自身の統属関係や被官関係から離れた他の機関に対し官職任命,荘園所職,訴訟などに関する利益主張を上申するとき,直属の支配権者や主人から取得する推薦状をいうにいたった。たとえば鎌倉幕府への名主百姓などの出訴は,公領荘園においては本所挙状,地頭領内においては地頭挙状,鎌倉においては地主の吹挙が必要であった。一般に,挙状を得ることは,中世人がその所属する集団の法圏を超えた公的領域において,法的主体として行動するための基本的な手続であったといえよう。
執筆者:保立 道久
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古代・中世における推薦状をいう。律令制では主に官職に任用する際の推薦状を意味したが、中世では推挙状(すいきょじょう)(吹挙状)ともいい、広く推薦・取次・紹介などのために提出する文書をさした。ある人の家来や支配下・領有下の者が官職や荘園所職(しょしき)を希望し、または訴訟を起こすときは、その主人・上司ないし領有権者の挙状を伴うのが通例であった。ことに鎌倉幕府の訴訟手続では、諸国の荘園公領や神社・仏寺の支配下の人々が幕府に訴訟を起こすにはその本所(ほんじょ)の挙状が必要とされ(『御成敗式目』第6条)、庶民の訴訟は諸国ならばその地の地頭(じとう)の挙状、鎌倉中ならばその地主(じしゅ)の挙状を要すると定められた(『吾妻鏡(あずまかがみ)』建長2年4月29日条)。
[小川 信]
『相田二郎著『日本の古文書 上』(1962・岩波書店)』
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…中世では,下位者が自身の統属関係や被官関係から離れた他の機関に対し官職任命,荘園所職,訴訟などに関する利益主張を上申するとき,直属の支配権者や主人から取得する推薦状をいうにいたった。たとえば鎌倉幕府への名主百姓などの出訴は,公領荘園においては本所挙状,地頭領内においては地頭挙状,鎌倉においては地主の吹挙が必要であった。一般に,挙状を得ることは,中世人がその所属する集団の法圏を超えた公的領域において,法的主体として行動するための基本的な手続であったといえよう。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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