食の医学館 「排尿困難」の解説
はいにょうこんなん【排尿困難】
《どんな病気か?》
〈中年以降の男性では前立腺肥大の可能性が大〉
尿意があるのにトイレにいってもなかなか尿がでない、あるいは尿の出が悪く、終わるまで時間がかかるといった症状をいいます。
中年以降の男性や、高齢者に多くみられる症状で、とくに男性の場合は、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)(「前立腺肥大・前立腺炎」参照)や前立腺がんが原因で排尿困難を起こしていることが多いので注意が必要です。
進行すると、尿閉(にょうへい)といって、まったく尿がでなくなる場合もあります。こうなると、膀胱(ぼうこう)にたまった尿の中で細菌が増殖して膀胱炎になったり、腎臓(じんぞう)に尿がたまって水腎症(すいじんしょう)や腎不全(じんふぜん)を合併するおそれがあります。
尿が多少でにくい程度であれば、水分を多めにとるよう心がければ症状は改善しますが、疲れやすくなった、むくみがある、血尿がでるなどの症状があるときは、早めに医師の診察を受けてください。
《関連する食品》
〈モチ米、ギンナンは避け、カリウムはくだものからとる〉
○栄養成分としての働きから
尿がでにくい人は、カリウムを積極的にとるようにします。
カリウムには、腎臓に働きかけて老廃物の排泄(はいせつ)をうながす利尿作用があります。
利尿薬を長期間にわたって服用していたり、下痢(げり)をしやすい人、お酒やコーヒー、甘いものが好きな人は、カリウムが不足しやすいので注意してください。
カリウムは、ホウレンソウ、ヒジキ、カツオやカジキなど、幅広い食品に含まれていますが、水に溶けやすく、調理すると減ってしまいます。ですから、そのまま食べられるトマト、アボカド、スイカなどからとると効率的です。
前立腺肥大症が排尿困難の原因となっている場合、前立腺細胞への亜鉛(あえん)の結びつきが減少するので、亜鉛を多く含むカキ、レバー、ウナギ、ホタテガイなどの食品を十分にとるようにしましょう。
ほかに、排尿をうながす効果のある食品として漢方などで古くから知られているものに、トウガンやアズキ、キュウリ、レタス、チンゲンサイなどがあります。あわせてとるといいでしょう。
避けたいのは、せんべいなどの原料となるモチ米や、ギンナンです。これらには排尿を抑える作用があるとされています。