精選版 日本国語大辞典 「無月経」の意味・読み・例文・類語
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性成熟期を迎えた女性で、月経が来ない状態を無月経といいます。これには、生まれてから一度も月経のない
両者の定義は、原発性無月経は満18歳を迎えても初経が来ない状態、続発性無月経はそれまであった月経が3カ月以上停止している状態をさします。続発性無月経は、病的なもの以外にも妊娠、授乳、閉経などの生理的な変化による場合も含んでおり、注意が必要です。
原発性無月経と続発性無月経の原因には、類似した状態によるものもありますが、両者でまったく異なるものもあります。これらを大きく分類すると表6のようになります。
●原発性無月経
月経が来ないという症状のほか、原因により特徴的な症状が現れます。染色体異常症や卵巣形成障害が原因の場合は、乳房の発育、
子宮や腟の欠損によるものの場合は、卵巣や
明白な原因がない、いわゆるただ初経が遅れているだけということも多いのですが、この場合、ほかの二次性徴の出現も遅れていることが多いようです。
●続発性無月経
月経停止以外に症状のないことが多いのですが、急激な体重減少(体重減少性無月経)、強い精神的ストレス(心因性無月経)など、きっかけとなっている変化がみられることがあります。
高プロラクチン血症では乳汁の漏出がみられます。
無月経の原因がどこにあるのかをみきわめることが検査の目的です。そのために血液検査によるホルモン検査、ホルモン負荷試験などを行い、原因があるのが間脳の
とくに原発性無月経の場合、子宮や腟の存在の有無、二次性徴発現の有無、染色体検査による染色体異常の有無についての検査も必要です。妊娠などの生理的無月経の可能性は、続発性無月経の場合にとくに十分考慮しなければいけませんが、原発性無月経でも妊娠の可能性を完全に否定することはできません。
治療は、原因によって異なるばかりでなく、それぞれの患者さんの目標とする到達点によって異なります。
すなわち、月経を起こすことを目標とするのか、さらに進んで妊娠の成立を目標とした治療を望むのかという点によって異なるわけです。ただし、原因によっては妊娠の成立が極めて難しい、または不可能な場合もあります。
月経を起こす治療には女性ホルモン製剤、妊娠成立には排卵誘発剤の使用が基本です。このほか、漢方薬、プロラクチン降下薬、手術、体重調節、カウンセリングなどを、原因や症状に応じて適宜組み合わせて治療します。
まず、妊娠などの生理的無月経でないことを確認します。いつから無月経になっているか、記録を確かめます。無月経の期間がそれほど長くない場合は、基礎体温の計測を数日から数週間にわたって行い、病院受診時にグラフに記載したものを持参します。そのほか、体重の変化などにも注意したうえで受診します。
乳汁漏、半陰陽、処女膜閉鎖、鎖陰、腟欠損、腟中隔、稀発月経、卵巣機能低下症、妊娠の診断
久具 宏司
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
月経が規則的な間隔(およそ4週間)で反復しておこらないことをいう。思春期のおよそ12歳ころに初経をみることが多いが、生後一度も月経がみられない場合を原発性無月経といい、いったんみられた月経がなくなる場合を続発性無月経という。子宮内膜からの月経血の排出路が閉鎖しているために血液が腟(ちつ)外に流出しないものを偽(仮性)無月経という。これに対して一般的に無月経というと、子宮内膜から月経出血がないものをさし、真の無月経という意味で真性無月経といわれる。真性無月経は生理的なものと病的なものとに分けられる。前者には幼小児期、閉経後の老年期婦人の無月経、成熟期婦人の妊娠・産褥(さんじょく)・授乳期の無月経がある。病的無月経にはさまざまな原因がその背景にあるが、おもな発生部位別に視床下部性、下垂体性、卵巣性、子宮性、副腎(ふくじん)性などと、全身性疾患に随伴しておこるものなどがある。
視床下部性無月経は、視床下部から分泌される黄体形成ホルモン放出ホルモンの下垂体に対する刺激が不十分なために、下垂体からの卵巣刺激ホルモンの分泌が不足しておこる。下垂体性無月経は、下垂体での卵巣刺激ホルモンの産生が低下するためにおこる。卵巣性無月経は、卵巣に原因があるために無月経になるもので、卵巣の発育不全、老化、卵巣摘除後、X線照射後などで卵巣からの卵胞ホルモンの分泌が不足するためにおこる。子宮性無月経は、結核性子宮内膜炎や、分娩(ぶんべん)や流産時の子宮内操作と炎症などによって子宮内膜が荒廃したためにおこる場合や、極端に発育が不良な子宮でみられる。副腎性無月経は、副腎皮質の機能亢進(こうしん)や男性ホルモンの分泌が過剰であるときにおこる。全身性の疾患に伴っておこるものは、慢性の疾患たとえば肝硬変、悪性腫瘍(しゅよう)、慢性心疾患、慢性腎炎や、結核などの感染症、肥満、やせすぎなどによっておこる。内科的なホルモン分泌の異常には、甲状腺(せん)の病気(機能亢進症と機能低下症)、糖尿病などがある。以上のように、病的無月経の原因はさまざまなので、原因をよく調べる必要がある。
原発性無月経では、卵巣の形成がほとんどない先天的な異常によるものが多いので、早期の専門的な診断がたいせつである。既婚婦人の場合には、妊娠を目的にする根本的な原因に対する治療が可能であるのか、妊娠の可能性がなく単なる対症療法にとどまるのか、個々の症例に応じて治療内容は大いに異なる。
[新井正夫]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…子宮内膜のうち,深層部の基底層(機能層に比べてごく薄い)は,このような特定の血管構造をもたず,ホルモンに反応しないので剝脱せず,機能層が卵巣からの性ホルモンの減少に反応して剝脱する。 妊娠時に無月経になるのは,妊娠すると,黄体が妊娠黄体になり,黄体ホルモンなどが盛んに分泌されつづけ,血中の性ホルモンレベルが維持されるので,子宮内膜は剝脱することなく,月経出血が発来しない。これを生理的無月経という。…
…正常月経より逸脱した異常な状態のことで,無月経のほかに,月経の開始時期(初潮)や終了時期(閉経),月経周期の長さ,月経血量,月経時の随伴症状などの異常であり,以下のようなものが含まれる。
[無月経]
成熟婦人において月経のみられない状態をいう。…
…女性では,卵巣での卵子形成障害およびエストラジオールやプロゲステロンなどの分泌低下がみられる。このような卵巣機能低下症の場合は無月経を伴う。
[男性の場合]
男性の性腺機能低下症のうち原発性性腺機能低下症としては,先天的なものでは,睾丸無形成,クラインフェルター症候群,ライフェンスタイン症候群,男性ターナー症候群などにより,精細管,間質細胞の双方が障害される。…
※「無月経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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