デジタル大辞泉 「仏」の意味・読み・例文・類語
ほと‐け【仏】
1 仏語。悟りを得た者。
2 仏像。また、仏の画像。「
3 死者。また、その霊。「
4 温厚で慈悲心の深い人をたとえていう語。
5 仏法。
「―の
6 仏事を営むこと。
「
[下接語](ぼとけ)
[類語]新仏
語源についてはかならずしも明確でない。梵語 Buddha は中国では「浮屠」「浮図」などと音写され、後には「仏陀」と書かれることが多く、これらとの関連が考えられる。空海「性霊集」には、「仏陀」「仏駄」「没駄」「没度」などの表記が見られ、日本でも後には Buddha の音訳としては「仏陀」が一般化し、優れた修行者、特に仏教の開祖釈迦を指す語としてはこちらが用いられるようになった。
サンスクリットbuddhaの音訳〈仏陀〉の略語で,〈如来〉の語とともに仏陀を指す普遍的な用語である。したがって仏陀の教説が仏教であり,仏陀の像が仏像である。この意味では仏は仏教を指す場合もある。まずbuddha(〈仏陀〉)は目を覚ます,悟るという動詞budhの過去分詞で〈覚れる者〉〈覚者〉の意味である。そしてその覚の内容が菩提であり正覚と訳される。この仏が如(によ)(真理)から来たという意味で如来とよばれ,供養されるべき尊い者の意味では応供(おうぐ)ともよばれる。このほかに正遍知(しようへんち),明行足(みようぎようそく),善逝(ぜんぜい),世間解(せけんげ),無上士(むじようし),調御丈夫(ちようごじようぶ),天人師(てんにんし),世尊(せそん)ともよばれ,仏の十号といわれる。これが仏というものの属性をあらわしている。そのほか薄伽梵(ばかぼん),両足尊,人中牛王(にんちゆうごおう),大丈夫などの称号も見られる。仏はその身体に三十二相と八十種好という超人間的美点をそなえているというので,仏像はその教説にしたがって作られる。仏は中国では金人などとよばれたが,日本では〈ほとけ〉という。この語の起源については古来諸説あるが,中国の音訳で仏陀,仏駄(ぶつだ),浮屠(ふと),浮図(ふと)とされた浮屠の訛音とすべきで,仏を浮屠と書いた例は《魏書》釈老志にある。ところが日本では死者をも〈ほとけ〉とよぶので,缶(ほとき)を死者の霊の容器としてまつるところから〈ほとけ〉が出たという説もある。しかし,それでは仏陀を〈ほとけ〉とする方が説明できない。仏教葬では仏陀と同じ菩提を成ぜしめて一体化することが目的なので,同号になったのであろう。
執筆者:五来 重
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…仏教の世界観の一つ。精神的な生き方を,迷いより悟りへの10層に分け,最下の地獄より餓鬼,畜生,修羅,人間,天上,声聞,縁覚,菩薩,仏へと上昇するもの。…
…現代から時代を約2500年さかのぼらせてみよう。われわれは,インドのガンガー(ガンジス川)の流域で仏陀が涅槃(ねはん)を説き,中国では老子が道を,孔子が仁を説いていたことを知らされるであろう。そしてそれから約500年ののち,地中海縁辺のイスラエルにイエスが出現して神の愛を説き,キリスト教の礎を築いた。…
…仏教はインドの釈迦によって紀元前5世紀に開かれ,一は南海をへて東南アジアに伝わり,他は中央アジアから中国,朝鮮をへて日本に達する。長い歳月をかけてアジアの広大な地域に伝播しただけに,そこに展開する仏教美術は多彩をきわめ,その変化の諸相に幻惑されるほどである。…
…仏,法,僧の三つをいう。仏とは悟りを開いた人,また法とは仏の説いた教え,僧とは仏の教えに従って悟りを目ざして修行する出家者の集団(サンスクリットで〈サンガ〉。…
…仏教はインドの釈迦によって紀元前5世紀に開かれ,一は南海をへて東南アジアに伝わり,他は中央アジアから中国,朝鮮をへて日本に達する。長い歳月をかけてアジアの広大な地域に伝播しただけに,そこに展開する仏教美術は多彩をきわめ,その変化の諸相に幻惑されるほどである。…
…〈悟った者〉を意味するサンスクリットのブッダbuddhaの音訳。浮図(ふと),浮屠(ふと)と音訳されたこともあり,仏(ぶつ)とも略称される。意訳は覚者。…
※「仏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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