摂社末社(読み)せっしゃまっしゃ

改訂新版 世界大百科事典 「摂社末社」の意味・わかりやすい解説

摂社・末社 (せっしゃまっしゃ)

神社内で本社に付属する小社のこと。古く〈所摂〉と記されている例もあるが,明治の制で伊勢神宮,また官国幣社において,本社に付属する関係深い社を摂社,それにつぐ小社を末社と称することと定めた。これは社格ではなく,本社祭神の后(きさき)神,御子(みこ)神をまつる社,本社旧跡に設けた社,本社祭神の荒御魂(あらみたま)をまつる社,地主神の社など関係深い社を摂社とし,それにつぐ社を末社とした。その本社境内にあるものを境内摂社,境内末社とよび,境外のものを境外摂社,境外末社とよんだが,それらのなかに,府県社,郷社,村社などの社格のある社もあった。伊勢神宮では804年(延暦23)撰の《皇太神宮儀式帳》《止由気宮儀式帳》に記す,当時官社に列せられていた社,官社に列せられていなかった社を基礎として,現在皇大神宮(内宮)に33座27社の摂社,16座16社の末社,豊受大神宮(外宮)に17座16社の摂社,8座8社の末社がある。また,その明治の制で,府県社以下の神社で,同様に本社に付属する社のことを,単に境内社境外社とよぶことと定めていたが,その制の廃された以後の現在も,境内社,境外社とよび,また摂社,末社と称している場合がある。なお,この摂社・末社とも本社と同一宗教法人であり,別法人ではない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「摂社末社」の意味・わかりやすい解説

摂社・末社
せっしゃまっしゃ

神社に付属し、本社の祭神あるいは由緒上の縁故によって所管されている社(やしろ)。境内と境外にあるものに分かれる(境内摂末社・境外摂末社)。伊勢(いせ)神宮では古来、その基準を官社であるか否かに置いていた。その他の神社では中世以来、八幡(はちまん)・稲荷(いなり)・祇園(ぎおん)天王などの流行神を勧請(かんじょう)して摂末社とした例が多かったが、区分は定まっていなかった。明治以後、官国幣社では、祭神の后(きさき)神・御子(みこ)神・荒魂(あらみたま)、本社の地主神、旧跡地の神社などを摂社として上位に置き、その他を末社とした。府県社以下では境内社・境外社と称した。社格の廃された現在でも慣行的に摂社・末社を用いるが、法人上は境内社として同様に扱われる。

[牟禮 仁]

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