国が政党に対して政党交付金(政党助成金)による助成を行うという目的のもとで、(1)助成を必要とする政党の要件、(2)政党の届出、(3)使途の報告、その他必要な措置を講ずることを定めた法律。平成6年法律第5号。
政府の諮問機関である第八次選挙制度審議会は、政党への公的助成を行う理由について、リクルート事件をはじめとする「政治腐敗の解消および政治活動に必要な財政基盤の強化を目ざすために」必要であると述べ、1990年(平成2)に答申を政府に提出した。しかし、公的助成については、政党に対する公的機関のコントロールの危険性を生み、政党の自主的活動が阻害されることにならないかなどの批判があった。制定された政党助成法の内容は、以下のとおりである。
[吉田善明]
政党は、日本国憲法で保障された存在であるとしても、政党交付金を受けるには、以下の要件のいずれかが満たされなければならない。
(1)当該政治団体に所属する衆議院議員、または参議院議員を5人以上有すること。
(2)衆議院議員、または参議院議員を有し、かつ直近に行われた衆議院議員総選挙(小選挙区選挙か、比例代表選挙のいずれかの選挙)、または前回、前々回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙か、選挙区選挙)のいずれかにおいて、全国を通じた有効投票の得票総数が2%以上であること(2%条項)。
なお、得票総数を2%以上としていることについて、ミニ政党の排除につながるのではないかという批判がある。
[吉田善明]
政党交付金の総額は、日本の人口(国勢調査による)に250円を乗じた額であり(同法第7条)、この金額が予算に定められる。2007年(平成19)の総額は、319億4200万円であった。これは「選挙制度あるいは政治資金制度の改革後における政治活動の経費の所要額」の3分の2であるとされている。交付金を受け取ることは、政党が国家に依存することになるのではないかという議論もたびたび国会でなされるが、2007年現在、日本共産党以外の政党は交付金を受け取っている。
また、政党交付金の配分は、総額の2分の1が各政党の議員数に応じて、また2分の1が各政党の得票数に応じて配分される(同法第8条)。この配分方法について、
(1)過去の選挙結果に基づく配分は、新政党にとって不利である、
(2)小選挙区制のもとでは、議席数が得票率に比例的に表れない、
との批判がある。
[吉田善明]
政党が受けた交付金の使途については、政治活動の自由を尊重し、制限されないとした(同法第4条1項)。政党活動の自主性の尊重である。政党への交付金は、国民が納める税金を財源としていることから、政党に会計帳簿の備付けを義務づけると同時に、総務大臣への報告書の提出義務を課している。この報告書の要旨が官報に公表され(同法第31条)、監査意見書、監査報告書などとともに告示の日から5年間、総務大臣(政党の支部報告書などについては、都道府県選挙管理委員会)が保存し、閲覧の請求に応えなければならない(同法第32条2項)。もし、政党がこの報告書などを提出しないときには、当該政党に対して交付すべき政党の交付金の金額、または一部の助成を停止することができる(同法第34条)。政党交付金の閲覧のあり方については、コピーが認められず、オンライン検索ができないなど、改善すべきであるとの批判が多い。
[吉田善明]
『越路正巳・三枝一雄・坂口光男・吉田善明著『政治資金規正法・政党助成法の解説』(1997・一橋出版)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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