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政治人類学 せいじじんるいがく

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

政治人類学
せいじじんるいがく

政治における文化的伝統の影響,社会と自然環境との相互作用,政治構造の発展,変化の様式と政治的機能の遂行様式との関連性などを研究分野とする学問。成立したのは比較的新しく第2次世界大戦後,特に 1950年代後半である。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版の解説

せいじじんるいがく【政治人類学 political anthropology】

諸民族の文化に認められる多様な政治現象を比較研究する文化人類学の一分野。主要な政治現象としては,統治の構造,権威と権力の集中と配分および制度化の程度,各種集団の意思決定過程,またそれら集団間の支配,敵対,同盟などの諸関係,さらには民族統一や国民形成などがあげられるが,これらのいわば古典的政治現象に対して,今世紀半ば以降,新しい展開がみられた。それは第三世界の独立国における国民形成,宗教ないしイデオロギーの違いによる国際緊張,南北国家間の経済格差などの諸問題であるが,これらの問題を通じて比較文化論的アプローチの重要性がしだいに認識され,比較的新しい研究ジャンルである政治人類学の方法が注目されるに至った。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

政治人類学
せいじじんるいがく

政治人類学はおもに種族民社会を対象として、政治権力の獲得と行使、それらが及ぼす影響を研究する。[大森元吉]

歴史と対象

アジア、アフリカへの西欧列強の進出により、最初は非西欧的統治機構とそれらの働きが関心の的になった。モルガンのイロコイ同盟やフレーザーの王殺し神話の分析が発端で、神なる王、王母制、宗教的権威、身分やカーストなどが興味をひきつけた。政治人類学の発展は、アフリカでの事例研究を集大成したイギリス人類学者に負うところが大きい。植民地統治下の諸王国ならびに非集権統治機構の組織と活動の実態が個別に提示され、比較し検討する道が開かれた。しかし1960年代に入って新たな事態の展開がみられた。旧植民地諸国の独立であり、そこから欧米政治体系の導入と軋轢(あつれき)、新旧支配者層の衝突、庇護(ひご)従属関係の変質、地方選挙時の混乱など幾多の政治的不安と動揺が発生してきた。さらに政治人類学の対象として、先進諸国の少数民族と都市問題との関連追究が開拓されている。[大森元吉]

政治人類学の新手法

新たにインドやラテンアメリカでの実証的研究の成果も加わって、行動分析的な新しい手法や概念が開発された。政治的事件にかかわりあう人間全員を示す「フィールド」と、彼らの活動の場である社会的・文化的空間をいう「アリーナ」に注目して、政治行為のプロセスを究明するものもその一つである。これらは過程論的アプローチと分類されよう。他方ではシンボル操作の政治的効果や政治行為に内含される両義性、不明確性をエネルギーの源泉とみる構造機能主義的な手法の援用もみられる。[大森元吉]

構造機能主義的アプローチ

古くはエバンズ・プリチャードとフォーテスによる、分節的社会と国家の二類型の提出に始まり、その後政治学者の側からの批判にも答える形で、理論的にも精緻(せいち)化の道を進んできた。E・サービスやM・フリードらの新進化主義的な枠組みに基づいた分類は、経済人類学の成果も踏まえたもので、多くの人類学者の関心をひいた。最近では、こういった成果のうえに、国家の起源の問題が活発に論議されている。[濱本 満]

過程論的アプローチ

一方、政治を過程としてとらえ、紛争解決やリーダーの地位をめぐる競争における、個々人や集団の活動の分析を中心にするアプローチがある。M・シュワーツらの、政治過程を方向づける諸変数の分析、V・ターナーの、政治過程を一つの社会劇ととらえ、その展開のパターンを研究する試み、J・ボアズベインらによる、政治過程において動員される個人的ネットワークや、擬似集団、分派形成、政治的仲介人や政治的「企業家」の行動の分析などの例にみられるように、従来の構造記述ではとらえきれない現象を相手にするための、多彩な概念装置が提出されてきている。こういったなかで今後注目される研究動向の一つに、行為や過程中心的な分析を、象徴的秩序とその使用に関する分析に再統合しようという、A・コーエンやB・カプフェラーらの試みをあげることができよう。[濱本 満]
『フォーテス、エバンス・プリチャード編、大森元吉・星昭監訳『アフリカの伝統的政治体系』(1972・みすず書房) ▽G・バランディエ著、中原喜一郎訳『政治人類学』(1971・合同出版) ▽C・ジークリスト著、大林太良他訳『支配の発生』(1975・思索社) ▽A・コーエン著、山川偉也・辰巳浅嗣訳『二次元的人間』(1976・法律文化社)』

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