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政治地理学 せいじちりがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

政治地理学
せいじちりがく

領土や主権,統治など政治を主題とする地理学の分野。ドイツの F.ラッツェル (1844~1908) が体系化し,特にドイツで発展したが,一部は地政学に偏向した。地政学はラッツェルの政治地理学を基にした R.チェレーンの造語であり,K.ハウスホーファーが体系的に発展させて,国家有機体説にのっとり「生活圏」の概念を提起するが,ナチスの御用学問と化した。イギリス,アメリカ,フランスなどでは,政治地理学は国際関係を主とした研究が進んだが,地理的環境論によるものが多かった。第2次世界大戦後は S.ジョーンズ,J.ゴッドマンなどによって機能主義的方法が展開され,地域での政治の意義,政治的行動における地域住民,地域経済などとの関連など,国内政治に関心が寄せられた。さらに N.ボンズ,P.ジョルジュなどの研究が発表されてからは,広域行政,地方自治,大都市行政,選挙区などの国内的課題に関心を向けるほか,地域開発などの政治の機能にも視野を広げるようになった。

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百科事典マイペディアの解説

政治地理学【せいじちりがく】

国家や領土など政治・行政に関する地理学的問題を研究する人文地理学の一分野。特に国家の政治地域的な起源・発達・構造・機能を中心とし,自然的・人文的諸要素との関係などをも研究する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

政治地理学
せいじちりがく
political geography

国家をとくに領土という側面から研究する人文地理学の一部門。国家は領土・国民・主権(統治)の三要素の結合した有機体であると考え、その構造を解明しようとしている。日本の地理学は、一般に、自然・文化・経済・歴史といった側面に注目する傾向があるので、わが国では政治地理学は現在あまり発達した学問分野だとはいえない。しかし比較政治学や地域研究と組み合わされれば有益な成果を生む可能性は大きい。
 政治地理学を確立したのはドイツの地理学者F・ラッツェルであり、彼は主著『政治地理学』(1897)で、「国家は一群の人類と一塊の土地からなる」と述べ、領土と国民との緊密な結び付きをもつ生活体という観点から国家の地理的解明を行った。20世紀になるとイギリスのマッキンダーHalford J. Mackinder(1861―1947)が『民主主義の理想と現実』(1919)で、「世界島」World Islandという「ハートランド」の概念を、ユーラシア大陸の中心部(旧ソ連)に当てはめ、大陸国と海洋国の対立を強調した。その後ドイツにおいてナチズムを背景にした地政学の発達がみられたが、第二次世界大戦後のアメリカにおける政治地理学の発達は目覚ましいものがあり、国際関係論や地域研究の発展の基礎となり、領土問題は国際法の重要課題となった。なお、フランスではシーグフリードが選挙行動と地理的背景の関係を研究している。[川野秀之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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