殿下(読み)デンカ

世界大百科事典 第2版の解説

でんか【殿下】

〈てんが〉とも読む。本来は御殿の下をいうが,三后,皇太子・皇族等,摂政・関白の敬称。養老儀制令では太皇太后・皇太后・皇后の三后および皇太子に言上するには殿下の敬称をつけよと定め,公式令には殿下の語には闕字(けつじ)の礼を用いよと規定している。しかし平安時代に入るとしだいに用途が広がり,《菅家文草》には中宮(皇太夫人班子女王)や尚侍(嵯峨皇女源全姫)に殿下をつけた例が見え,さらに《九暦》に関白藤原忠平を指して殿下と称したのを早い例として,摂政・関白の敬称として多く用いられ,ついにはただ〈殿下〉といえば現任の摂政ないし関白を指すようになり,これに対し前任の摂政・関白を〈大殿〉と称するようにもなった。

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大辞林 第三版の解説

てんが【殿下】

〔「てん」は漢音〕
でんか(殿下)」に同じ。 〔日葡〕

でんか【殿下】

〔古くは「てんが」とも〕
明治以降、天皇・三后以外の皇族の敬称。外国の王国・公国などの皇族についても、これに準じて用いる。
律令制で、皇太子・三后の敬称。
平安期以降、摂政・関白・将軍の敬称。
宮殿または殿堂の階下。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

殿下
でんか

養老儀制令(ぎせいりょう)では皇后・皇太后・太皇太后(たいこうたいごう)の三后と皇太子への敬称とし、公式令(くしきりょう)は闕字(けつじ)対象と規定する。実例では、712年(和銅5)の長屋王願経(がんぎょう)跋語(ばつご)に「長屋殿下」が闕字されずに書かれているなど皇族の敬称に用いられ、また平安時代からは摂政・関白の敬称に用いられている。明治以後の皇室典範では天皇と三后の敬称を陛下(へいか)とし、殿下は皇太子・親王・王およびその妃、内親王(ないしんのう)・女王(にょおう)の敬称とした。[柴田博子]

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精選版 日本国語大辞典の解説

てん‐が【殿下】

〘名〙 (「てん」は「殿」の漢音) ⇒でんか(殿下)

でん‐か【殿下】

〘名〙 (古くは「てんが」とも)
① 御殿の下。宮殿や殿堂の階(きざはし)の下。
※内裏式(833)元正受群臣朝賀式「于時殿下撃鉦三下」 〔戦国策‐燕策・王喜〕
② 三后、皇太子、皇族などを敬っていう称。皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃、親王、親王妃、内親王、王、王妃、女王などに用いる。
※令義解(718)儀制「皇后皇太子。於太皇太后皇太后。率土之内。於三后皇太子上啓。称殿下。自称皆臣妾
※東京日日新聞‐明治二四年(1891)五月一五日「特派全権大使有栖川熾仁親王殿下」 〔高允‐諫皇太子営立田園書〕
③ 摂政・関白・将軍を敬っていう称。
※大鏡(12C前)一「このただいまの入道殿下の御ありさまをも」
※読本・雨月物語(1776)仏法僧「殿下(デンカ)と申奉るは、関白秀次公にてわたらせ給ふ」
[補注]「日葡辞書」に「Tenga」、「和英語林集成(初版)」には「Denka」とあり、近世中期以降にテンガからデンカに変化したものか。

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世界大百科事典内の殿下の言及

【天下】より

…例えば〈天下布武〉の印判を愛用した織田信長は,上洛後自分への協力は〈天下の為〉〈天下に対して大忠〉であると主張し,一方将軍義昭には〈天下の褒貶〉や〈執沙汰〉を論拠に非難を浴びせ,ついにはみずから〈天下を申し付くる〉と称するなど,天下の権威と多義性をしきりに利用している。 とくに最高権力者を端的に天下と呼ぶ用法は,おそらく,元来関白などを指す〈殿下〉の当て字としての天下とも交錯しつつ,足利時代以後しだいに広がった。そこで〈天下分け目〉の関ヶ原後も,天下とはすなわち徳川将軍を往々意味する。…

【天下】より

…例えば〈天下布武〉の印判を愛用した織田信長は,上洛後自分への協力は〈天下の為〉〈天下に対して大忠〉であると主張し,一方将軍義昭には〈天下の褒貶〉や〈執沙汰〉を論拠に非難を浴びせ,ついにはみずから〈天下を申し付くる〉と称するなど,天下の権威と多義性をしきりに利用している。 とくに最高権力者を端的に天下と呼ぶ用法は,おそらく,元来関白などを指す〈殿下〉の当て字としての天下とも交錯しつつ,足利時代以後しだいに広がった。そこで〈天下分け目〉の関ヶ原後も,天下とはすなわち徳川将軍を往々意味する。…

※「殿下」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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