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文正草子 ぶんしょうぞうし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

文正草子
ぶんしょうぞうし

御伽草子 23編の一つ。室町時代中頃に成る。『文正草子』『文正物語』『めでた物語』『塩焼文正』ともいう。鹿島大宮司下男文太が解雇されたのち塩焼き (製塩) に成功,大富豪となる。その娘2人は姉は中将北の方,妹は女御となり,自分も大納言になる。庶民興起の世相を背景につくられた致富成功談。めでたい話であるため,江戸時代前期には正月の草子の読初 (よみぞめ) に用いられた。

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デジタル大辞泉の解説

ぶんしょうぞうし〔ブンシヤウザウシ〕【文正草子】

室町時代の御伽草子。2巻。作者未詳。鹿島大明神の大宮司の下男である文太(のちに文正)が、塩売りをして長者となり、大納言にまで出世する庶民の立身談。塩焼き文正。文正の草子。

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百科事典マイペディアの解説

文正草子【ぶんしょうぞうし】

御伽(おとぎ)草子,渋川版23編の一つ。《文太物語》《塩売文正》《塩焼文正》とも。室町時代に成立。常陸(ひたち)鹿島神宮の大宮司の雑色(ぞうしき)文太が製塩業に成功し文正と改名,鹿島大明神に祈って2女をもうけ,姉は関白若君奥方に,妹は天皇の妃となり,自分も大納言にのぼる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶんしょうぞうし【文正草子】

御伽草子。《塩売文正》《塩焼文正》《ぶん太物語》などとも呼ばれる。常陸国鹿島大明神の大宮司に仕える雑色(ぞうしき)の文太は,正直者であったが主から勘当され,〈つのおか〉の磯で塩を焼き,年月経て長者となり,文正〈つねおか〉と名のる。大宮司殿から子のないことの不運を諭された文正は,女房を叱り,鹿島大明神にこもり,7日目の夜半示現があって申し子を授かる。女房は十月経て美しい姫を産み,次の年も光るほどの姫御前をもうける。

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大辞林 第三版の解説

ぶんしょうぞうし【文正草子】

御伽草子。三冊。作者未詳。室町中期に成立。鹿島大宮司の雑色ぞうしきで正直者の文太は塩を売って大長者となり、文正と称する。その娘は、姉は関白の若君の妻、妹は女御となり、文正も大納言になるという立身出世談。塩焼き文正。塩売り文太物語。文正物語。文太物語。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

文正草子
ぶんしょうぞうし

御伽草子(おとぎぞうし)。作者未詳。室町時代の作。常陸(ひたち)国鹿島(かしま)大宮司の雑色(ぞうしき)であった文太は、製塩業に成功して一躍長者となり、文正と名のった。鹿島大明神(だいみょうじん)に祈って2人の美貌(びぼう)の女子を授かったが、成長した娘は気位が高く、次々とおこる縁談にも応じないでいた。そのうわさを聞いた時の関白の嫡子中将は、見ぬ恋にあこがれ、商人姿となって常陸へ下ると、文正の館(やかた)に宿って、ついに姉娘と契りを結ぶ。姉は都へ迎えられて中将の北の方となり、妹娘は帝(みかど)の女御(にょうご)に召され、文正も公卿(くぎょう)の座に連なって末長く栄えた。致富と出世と長寿というめでたずくめの物語として、江戸時代には正月の草子の読み初めに用いられた御伽草子の代表作である。[松本隆信]
『市古貞次校注『日本古典文学大系38 御伽草子』(1958・岩波書店) ▽大島建彦校注・訳『訳完日本の古典49 御伽草子集』(1983・小学館)』

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