改訂新版 世界大百科事典 「斑レイ岩」の意味・わかりやすい解説
斑レイ(糲)岩 (はんれいがん)
gabbro
斜長石,輝石,カンラン石などからなる塩基性深成岩。無色鉱物はラブラドライトよりカルシウムに富む斜長石が主体で,有色鉱物としては,普通輝石,斜方輝石,カンラン石,角セン石などがある。岩石の種類は含まれる有色鉱物の種類や量比によって分けられ,主として普通輝石が含まれるものを狭義の斑レイ岩,斜方輝石主体のものをノーライト,カンラン石の多いものはカンラン石斑レイ岩,カンラン石ノーライトという。カンラン石のみのものはトロクトライトという。一般に少量の磁鉄鉱,スピネル,磁硫鉄鉱などが伴われる。黒雲母や石英が含まれる場合もある。ガブロgabbroはイタリアのトスカナ地方の小村名に由来し,そこの変質・破砕された塩基性岩の名で,もともとは正体不明の塩基性岩を称した。
斑レイ岩は玄武岩質マグマが地殻の中部~深部で結晶して生成されるが,結晶作用の際に分別結晶と晶出鉱物の差別的沈積作用が起こり,多様な岩石種からなる層状分化岩体が形成されることが多い。斑レイ岩はこのような岩体の主要構成メンバーとして産する。南アフリカのブッシュフェルト貫入岩体,グリーンランドのスケアガート貫入岩体がこの代表的なもの。オフィオライトの中~下部層はこれと同じ作用で形成された層状斑レイ岩からなる。海洋底からも同種の岩石が採集されており,海洋地殻下部は層状斑レイ岩から構成されていると考えられている。
執筆者:小松 正幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報