日本大百科全書(ニッポニカ) 「オフィオライト」の意味・わかりやすい解説
オフィオライト
おふぃおらいと
ophiolite
造山帯に産出する特徴的な組み合わせをもった岩石の集合体で、橄欖岩(かんらんがん)あるいは蛇紋岩(じゃもんがん)などの超苦鉄質岩、斑糲岩(はんれいがん)、ドレライト(粗粒玄武岩)、玄武岩質枕状溶岩などの苦鉄質岩、そして珪質堆積(けいしつたいせき)物であるチャートなどからなるもの。この岩石の集合体が、蛇のような模様をした蛇紋岩を多く伴うことから、蛇の石を意味するophioliteと名づけられた。現在の海洋プレートでは、下位からマントル最上部の橄欖岩を主とする超苦鉄質岩、その上にモホロビチッチ不連続面を介して海洋地殻下部を構成する斑糲岩、地殻上部を構成するドレライトの岩脈群、そして厚い枕状溶岩がこの順番に重なっており、最上部の海底表層部に珪質堆積物が重なっている。そのため、現在、陸上で観察されるオフィオライトは、海洋プレート上部を構成していた岩石が、海洋プレートの沈み込みに伴って大陸プレート下底に付加したり、大陸プレート同士の衝突によってそれらの間に存在していた海洋プレートの一部が大陸プレート上にのし上げたりしたものと考えられている。オフィオライトが造山帯にのみ分布するのは、このようなプレート境界での付加や衝突現象が起こったからである。海外の例としては、オマーンやキプロスのオフィオライトなどが古くから知られている。日本でも兵庫県から京都府、福井県にかけての舞鶴(まいづる)帯に分布する夜久野(やくの)オフィオライトが知られており、これは超丹波帯(ちょうたんばたい)のペルム紀付加コンプレックスの上に衝上している。夜久野オフィオライトでは、超苦鉄質岩と苦鉄質岩の境界の露頭が確認されており、かつてのモホロビチッチ不連続面が地表に出現したものと考えられている。また、北海道の神居古潭(かむいこたん)帯の幌加内オフィオライト(ほろかないおふぃおらいと)や日高帯の幌尻オフィオライト(ぽろしりおふぃおらいと)は、衝突帯に分布するオフィオライトとして知られている。
[村田明広]