斜開銅鉱(読み)しゃかいどうこう(その他表記)clinoclase

最新 地学事典 「斜開銅鉱」の解説

しゃかいどうこう
斜開銅鉱

clinoclase

化学組成鉱物単斜晶系,空間群P21/a, 格子定数a1.2401nm, b0.6460, c0.7266, β99.46°,単位格子中4分子含む。柱状~板状結晶。暗緑青~緑黒色,条痕青緑。透明ないし半透明,ガラス光沢真珠光沢劈開{001}に完全。硬度2.5~3,比重4.33~4.35。薄片では淡緑青~緑色の多色性,屈折率α1.756, β1.874, γ1.896, 2V(−)50°,光分散vrきわめて強。銅鉱床の酸化帯にオリーブ銅鉱などを伴う。日本でも山口県美祢市美東町喜多平鉱山をはじめいくつかの産地が知られている。名称は,傾いた底面の劈開があることから,ギリシア語傾斜(klinein),割れる(klan)に由来。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「斜開銅鉱」の意味・わかりやすい解説

斜開銅鉱
しゃかいどうこう
clinoclase

銅(Cu)の含水ヒ酸塩鉱物の一つ。Cu2+(二価銅)の二次鉱物では例の少ない5配位のCu2+の存在で注目された。1999年に同質異像関係にある新鉱物ギルマー鉱gilmariteが発見されている。自形b軸方向に伸びて柱状をなす場合と、c軸方向に伸び、a軸方向に扁平(へんぺい)で細長い菱形(ひしがた)の輪郭をもつものとがある。前者は放射状集合を、後者はこの菱板状のものが薔薇(ばら)の花の花弁のように集合することがある。劈開(へきかい)は、この場合、菱形の面を正面から見ると、菱形のより尖った部分が手前へわずかに傾いて斜めに切れるように発達する。多くは皮膜状である。なお、古い記載は確認が化学分析のみによっているので、なかにはギルマー鉱が誤認されている可能性のあるものもある。とくに菱形のものは、その可能性が高い。

 各種銅鉱床の酸化帯に産し、二次鉱物生成に関与した初生鉱物の主成分中鉄以外の重元素、亜鉛、鉛などが存在すると、本鉱の出現はみられないという経験則がある。日本では山口県美祢(みね)郡美東(みとう)町(現、美祢市美東町)喜多平(きたひら)鉱山(閉山)のものが有名であった。共存鉱物はオリーブ銅鉱、コニカルコ鉱コルヌビア石コーンウォール石など。同定はやや緑色がかった藍色。完全な劈開。条痕(じょうこん)も見た目の色のままである。英名はギリシア語で「傾いて」と「割れる」を意味する語に由来する。

[加藤 昭 2017年5月19日]


斜開銅鉱(データノート)
しゃかいどうこうでーたのーと

斜開銅鉱
 英名    clinoclase
 化学式   Cu3[(OH)3|AsO4]
 少量成分  P,Fe
 結晶系   単斜
 硬度    2.5~3
 比重    4.42(ギルマー鉱は4.21)
 色     帯緑藍。色の濃いものはやや緑味が勝ってくるが,それでも基本的な色調は青系統
 光沢    ガラス。劈開面上では真珠光沢が出ることがある
 条痕    見かけの色と同一。帯緑藍
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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