日本大百科全書(ニッポニカ) 「コニカルコ鉱」の意味・わかりやすい解説
コニカルコ鉱
こにかるここう
conichalcite
カルシウムと銅の含水正ヒ酸塩鉱物。銅の二次鉱物の一つ。各種銅鉱床、とくに斑岩(はんがん)銅鉱床など銅とヒ素の複硫化物を産する鉱床、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)など、黄銅鉱と硫砒(ひ)鉄鉱の両方あるいは砒四面銅鉱・硫砒銅鉱・ルソン銅鉱など銅とヒ素を主成分とする鉱物を産するような鉱床の酸化帯中に生成されるほか、ある種の含銅硫化鉄鉱床では母岩の広域変成岩の石英脈中に出現することもある。カルシウムのかわりに鉛が、銅のかわりにマグネシウム、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、マンガンが、ヒ素のかわりにバナジウムが置換したような種があり、これらの組合せから合計14種ほどの同構造あるいは類似構造鉱物が存在する。珪酸塩(けいさんえん)鉱物のバニャ石vuagnatite(CaAl[OH|SiO4])とも同構造である。自形は底面、庇(ひ)面、錐(すい)面などからなる斜方複錐台をなすが、まれ。命名は、ギリシア語で粉末状の外観で銅を含むという意味のことばに由来する。
[加藤 昭]