オリーブ銅鉱(読み)おりーぶどうこう(英語表記)olivenite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリーブ銅鉱」の意味・わかりやすい解説

オリーブ銅鉱
おりーぶどうこう
olivenite

含水第二銅の正ヒ酸塩鉱物。Cu2[OH|AsO4]という化学式から連想されるように、紅柱石と同構造。同構造のリン置換体であるリベテン鉱libethenite(化学式Cu2[OH|PO4])などとともにリベテン鉱系を構成。自形は先の平らな菱柱(りょうちゅう)状のものと先のとがった直方体をなすものとがある。これらは単独のことも集合をなすこともあるが、多量に生成されていると繊維状~細柱状をなし、これが腎臓(じんぞう)様あるいは集落状をなすこともある。各種銅鉱床の酸化帯中に産するが、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)や深熱水性鉱脈型銅鉱床など、深所生成の鉱床に多い。日本では山口県美祢(みね)郡美東(みとう)町(現、美祢市美東町)喜多平(きたびら)鉱山閉山)のものが有名である。

 共存鉱物はコニカルコ鉱、斜開銅鉱、コーンウォール石、ブロシャン銅鉱、くじゃく石、スコロド石など。同定はその名のとおりオリーブ色を帯びた緑色による。ただし繊維状のものは色が藁(わら)黄色になり、絹糸光沢を生ずる。条痕(じょうこん)は案外色が淡くならない。命名はその色に由来する。

加藤 昭 2016年1月19日]


オリーブ銅鉱(データノート)
おりーぶどうこうでーたのーと

オリーブ銅鉱
 英名    olivenite
 化学式   Cu2[OH|AsO4]
 少量成分  Zn,Fe
 結晶系   単斜。擬斜方(擬直方)。しかしこの決定が模式標本によるものではないので,斜方(直方)相の存在が否定されたわけではない
 硬度    3
 比重    4.45
 色     オリーブ緑,緑褐,褐,灰緑,灰白(含Zn変種),藁黄(繊維状のもの)
 光沢    金剛~ガラス。繊維状のものは絹糸光沢
 条痕    淡オリーブ緑~淡褐
 劈開    不明瞭なものが二方向
       (「劈開」の項目参照

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