デジタル大辞泉
「断物」の意味・読み・例文・類語
たち‐もの【断(ち)物】
神仏に願をかけ、願い事が成就するまで、ある種の飲食物をとらないこと。また、その飲食物。塩断ち・茶断ちなど。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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たち‐もの【断物】
- 〘 名詞 〙 神仏に願をかけ、その願いが成就するまで止める飲食物。塩断ち、茶断ちなどの塩や茶の類。
- [初出の実例]「米山薬師十二月断物書レ之貼レ壁」(出典:蔭凉軒日録‐延徳三年(1491)五月一四日)
- 「医師 あはれ我恋の病ぞ薬なきうき名ばかりをたち物にして」(出典:七十一番職人歌合(1500頃か)三四番)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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断物 (たちもの)
神祭,立願,修行のために一生または一定期間を限って,特定の食事禁忌や行為禁止をすること。神祭の物忌の場合には,動物の肉,ニラ,ラッキョウ,ニンニクなど臭みのあるもの,祭神の嫌うキュウリ,ゴマ,ニンジンなどが多く断物とされ,祭礼期間中は食べたり触れたりしてはならない。産穢,死穢,血穢の物忌中には,太陽の光にあたらない,他人と食事や火をともにしない,といった規制があり,妊婦・産婦への食物禁忌も強い。全村的な謹慎は,長野県北安曇郡で〈青物断ち〉といい,6月1日は野菜を食べない村がある。立願の場合は,病気回復など切実な心願を掛けるとき,祈願対象に帰依心の切実さを示して,嗜好品や食料を断つ。塩,火,穀,茶,酒,タバコ,砂糖断ちや,好きな旅へ行かないといったことである。本人に代わって別人が代願をするときもある。修行の場合は,定型的な行為を実践して心身を鍛え強め,霊力を増強する手段とされる。
→穀断ち
執筆者:鈴木 正崇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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断物
たちもの
神祭や神仏の祈願にあたって,日常許されている行動を断つ禁忌のこと。食物禁忌と行動禁忌がある。食物禁忌としては妊婦に対するうさぎ肉やネギなどの禁止が代表的で,「うさぎ肉を食べると兎唇の子供ができる」「ネギを食べるとわきがの子が生れる」などといわれる。また神仏祈願する場合に,酒,たばこ,砂糖などの日常的な嗜好品を断つこともしばしば行われる。行動禁忌の例としては,妊婦に対し「死人や葬式をみると黒あざの子供ができる」などがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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