神祭,立願,修行のために一生または一定期間を限って,特定の食事禁忌や行為禁止をすること。神祭の物忌の場合には,動物の肉,ニラ,ラッキョウ,ニンニクなど臭みのあるもの,祭神の嫌うキュウリ,ゴマ,ニンジンなどが多く断物とされ,祭礼期間中は食べたり触れたりしてはならない。産穢,死穢,血穢の物忌中には,太陽の光にあたらない,他人と食事や火をともにしない,といった規制があり,妊婦・産婦への食物禁忌も強い。全村的な謹慎は,長野県北安曇郡で〈青物断ち〉といい,6月1日は野菜を食べない村がある。立願の場合は,病気回復など切実な心願を掛けるとき,祈願対象に帰依心の切実さを示して,嗜好品や食料を断つ。塩,火,穀,茶,酒,タバコ,砂糖断ちや,好きな旅へ行かないといったことである。本人に代わって別人が代願をするときもある。修行の場合は,定型的な行為を実践して心身を鍛え強め,霊力を増強する手段とされる。
→穀断ち
執筆者:鈴木 正崇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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