新井白蛾(読み)あらいはくが

精選版 日本国語大辞典 「新井白蛾」の意味・読み・例文・類語

あらい‐はくが【新井白蛾】

  1. 江戸中期の朱子学者易学者。江戸の人。名は祐登。字は謙吉。通称織部。別号黄州。崎門学の父新井祐勝と菅野兼山に学び、漢宋を折衷する志向を示し、京都に出て易学を研究。晩年金沢藩明倫堂学頭となった。著「古周易経断」「古易一家言」「老子形気」など。正徳五~寛政四年(一七一五‐九二

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新井白蛾」の意味・わかりやすい解説

新井白蛾
あらいはくが
(1715―1792)

江戸中期の儒学者。名は祐登(すけたか)、字(あざな)は謙吉(けんきつ)、通称は織部(おりべ)。白蛾のほか黄洲(こうしゅう)、竜山(りゅうざん)、古易館(こえきかん)などと号した。江戸の人で、崎門(きもん)学派(山崎闇斎(やまざきあんさい)を祖とする朱子学の一派)の菅野兼山(すがのけんざん)(1680―1747)に学び、のち京都に移って周易を研究し、易学者、占筮(せんぜい)家として著名になった。加賀藩に招かれて藩校明倫堂(めいりんどう)創設のとき学頭となり、禄(ろく)300石。金沢に没した。『古易一家言』『古周易経断』『古易断時言』『古易精義』『易学小筌(しょうせん)』『古易察病伝』など易学に関する著作が多い。

[衣笠安喜 2016年4月18日]


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朝日日本歴史人物事典 「新井白蛾」の解説

新井白蛾

没年:寛政4.5.14(1792.7.2)
生年:正徳5(1715)
江戸中期の儒学者。名は祐登,字は謙吉,号は白蛾,黄洲,古易館。江戸に生まれ,三宅尚斎の門人菅野兼山に師事して,朱子学を学ぶ。のちに京都に移り,易学を究める。寛政3(1791)年,金沢藩主前田治脩に招かれ,藩校明倫堂の創設につくし,その学頭となり,その地に没する。易学は占筮を中心とし,略筮法を平易に説き,一派を確立した。和歌をよく詠み,わが国の典詁にも通暁していた。易に関する『古周易経断』(全10巻),『古易対問』などのほか,『老子形気』(全5巻),『論語彙解』(全10巻)など,多くの著書がある。

(柴田篤)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「新井白蛾」の解説

新井白蛾 あらい-はくが

1715-1792 江戸時代中期の易学者,儒者。
正徳(しょうとく)5年生まれ。菅野(すがの)兼山に儒学をまなび,のち京都で易学を研究して名をなす。晩年加賀金沢藩につかえ,藩校明倫堂学頭となった。寛政4年5月14日死去。78歳。江戸出身。名は祐登。字(あざな)は謙吉。通称は織部。別号に黄洲,古易館,竜山。著作に「古周易経断」「白蛾秘伝書」など。
【格言など】みだりに誉(ほこ)る者はみだりにそしる(門弟への戒め)

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占い用語集 「新井白蛾」の解説

新井白蛾

江戸時代の易の大家。略筮法の発案者であり、易学中興の祖とも呼ばれる。多くの門下生が白蛾の私塾「古易館」の戸を叩いた。その著作である「古易対問」は広く浸透し、易を一般に広めた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新井白蛾」の意味・わかりやすい解説

新井白蛾
あらいはくが

[生]正徳4(1714)
[没]寛政4(1792).5.14.
江戸時代中期の朱子学派の儒学者。加賀藩明倫堂学頭。『周易』に通じる。著書『易学小筌』『易学類編』。

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世界大百科事典(旧版)内の新井白蛾の言及

【易】より

…このあと,50本の筮竹を手にとり占筮にうつるわけだが,《易》繫辞(けいじ)伝にもとづくいわゆる本筮法は煩瑣で時間もかかるので,ここではいわゆる略筮法を紹介する。江戸時代の平沢常矩が案出し,古易中興の人新井白蛾が普及させたといわれるもので,日本では今日もっとも普及している筮法である。 まず50本のなかから任意の1本を抜き取る(これは太極(たいきよく)になぞらえるもので終始用いない)。…

※「新井白蛾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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