新生児メレナ(読み)しんせいじメレナ(英語表記)Melena neonatorum

六訂版 家庭医学大全科の解説

新生児メレナ
しんせいじメレナ
Melena neonatorum
(子どもの病気)

どんな病気か

 新生時期にみられる吐血や下血などの消化管の出血のことです。これまでは、新生児メレナ=ビタミンK欠乏による新生児の出血性疾患のように思われていました。しかし、現在ではビタミンKの予防投与やさまざまな検査により、消化管出血の原因は多様であることがわかってきています。

 また、分娩時の母体血嚥下や授乳の際の乳頭周囲からの出血を飲み込んだために生じた吐血、下血が新生児メレナと間違えられることがありますが、これは仮性(かせい)メレナとして区別しています。

原因となる疾患

 ビタミンK欠乏などの出血傾向があるために発症する場合(新生児出血傾向)と、消化管に何らかの異常(粘膜の炎症、びらん、潰瘍、壊死(えし))があるために発症する場合とがあります。消化管の異常としては、食道炎出血性胃炎、急性胃粘膜病変胃潰瘍、胃穿孔(せんこう)十二指腸潰瘍腸重積症、腸回転異常症に伴う中腸軸捻転(ねんてん)壊死性(えしせい)腸炎、細菌性腸炎、ミルクアレルギー、メッケル憩室(けいしつ)鼠径(そけい)ヘルニア嵌頓(かんとん)などがあります。

検査と診断

 アプト試験(仮性メレナと区別する試験)、血液検査(貧血、血小板減少の有無)、肝機能異常の有無、出血傾向の有無、便培養(細菌性腸炎の有無)、X線検査、上部消化管造影、注腸造影、内視鏡・腹腔鏡検査などにより総合的に診断、重症度の評価を行います。

治療の方法

 ビタミンK補充、新鮮凍結漿(けっしょう)輸血、血小板輸血、胃洗浄、制酸薬、胃粘膜保護薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(じゅようたいきっこうやく)(いわゆる潰瘍の薬でタガメットやガスターなど)、高圧注腸、外科的手術(24時間以内に循環血液量の60%以上の出血が続く時や軸捻転、嵌頓の時)などがあります。

松永 雅道

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

新生児メレナ
しんせいじメレナ
melena neonatorum

新生児1次性出血症ともいう。生後2~3日頃から始ることの多い胃腸出血で,血中プロトロンビン量の減少が原因である。大量の吐血または下血のあった新生児は虚脱状態となり,顔面蒼白,脈拍細小,体温低下,四肢冷感などの症状を呈する。母親乳房からの出血を嚥下して起る仮性メレナや,敗血症などの出血性疾患などによる症候性メレナと鑑別しなければならない。治療には,ビタミンKの注射輸血補液,強心剤や止血剤が用いられる。出産前の母体にビタミンKを与えると,予防に役立つ。

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百科事典マイペディアの解説

新生児メレナ【しんせいじメレナ】

生後2〜4日の新生児に突然吐血血便タール便ノリのつくだ煮様)などの胃腸管出血をみる病気。ビタミンKに依存する凝固因子の不足により血液が凝固しにくくなり出血を起こしたものであるが,仮性メレナ(産道で母親の血を飲むか乳首からの血を飲むことによる)と区別する必要がある。治療はビタミンK投与。普通は数日でなおるが,重症例では輸血が必要。

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精選版 日本国語大辞典の解説

しんせいじ‐メレナ【新生児メレナ】

〘名〙 (メレナは mélaéna) 生後一か月以内に発病する真性メレナ、仮性メレナの併称。真性メレナは新生児の消化管出血のため、また、仮性メレナは新生児が分娩時血液を嚥下したり、母親の乳頭の出血を嚥下したりしたために起こる。いずれも黒色便を排出したり、褐色のコーヒー様のものを嘔吐したりする。

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デジタル大辞泉の解説

しんせいじ‐メレナ【新生児メレナ】

《メレナ(melena)は下血(げけつ)の意》新生児に起こる、黒色便を排出したり褐色のものを嘔吐(おうと)したりする病気。ビタミンK欠乏などによる消化管出血が原因の真性メレナと、母親などの血液を飲み込んだことが原因の仮性メレナがある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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