新生児嘔吐(読み)しんせいじおうと(その他表記)Vomiting in the newborn

六訂版 家庭医学大全科 「新生児嘔吐」の解説

新生児嘔吐
しんせいじおうと
Vomiting in the newborn
(子どもの病気)

どんな病気か

 嘔吐は新生児期にはよくみられる症状で、大部分一過性で回数も少なく、自然におさまります。しかし、脱水、電解質異常や誤嚥性(ごえんせい)肺炎などを併発する可能性があること、また、嘔吐を来す原因疾患が隠れている場合があることから、対応は慎重に行わなければなりません。

原因は何か

 消化管の器質的・機能的異常(初期嘔吐、消化管閉鎖・狭窄(きょうさく)ヒルシュスプルング病壊死性(えしせい)腸炎、腸回転異常症、胃食道逆流症など)、中枢神経系の異常(頭蓋(ずがい)内出血脳浮腫(のうふしゅ)水頭症(すいとうしょう)など)、感染症、各種の代謝異常症(副腎性器(ふくじんせいき)症候群や他の先天性代謝異常症、低血糖など)、ミルクアレルギー、授乳過誤(過剰授乳、空気嚥下症(えんげしょう)排気不良など)、激しい(せき)など、多くの原因があります。

症状の現れ方

 生理的嘔吐と病的嘔吐の見極めが大切になります。授乳前から頻回に嘔吐する場合、体重減少・脱水を認める場合、排便不良や腹部膨満(ぼうまん)を伴う場合、胆汁性嘔吐、発熱活気のなさなど嘔吐以外の症状を合併した場合には、病的嘔吐が疑われます。新生児期には、脱水症による黄疸(おうだん)増悪(ぞうあく)にも注意が必要です。

検査と診断

 嘔吐が現れた時期と持続期間、吐いた物の性状・量、嘔吐以外の症状、妊娠分娩歴などが診断の参考になります。血液学検査、血液生化学検査(感染所見、血糖、電解質、アンモニア他の生化学所見)、血液ガス分析、尿検査、細菌培養などとともに画像診断が重要です。胸・腹部X線検査は必須で、エコー(超音波)、消化管造影、CT、MRI検査も症状に応じて必要になります。

治療の方法

 生理的嘔吐では腸管栄養を続けながら経過をみます。

 病的嘔吐の場合には、腸管の安静とともに輸液を含めた全身管理が必要です。さらに、外科的疾患の場合は手術が、中枢神経疾患、感染症、代謝異常症では原因疾患に対する治療が必要です。

病気に気づいたらどうする

 全身状態が良好で、頻度・量が少なく、吐いた物の性状もミルクの残りかすのような物であれば、生理的嘔吐の可能性が高いと思われます。しかし、それ以外の場合には病的嘔吐が疑われるため、小児科医診察を受けてください。

和田 雅樹

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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