日はまた昇る(読み)ヒハマタノボル(その他表記)The Sun also Rises

デジタル大辞泉 「日はまた昇る」の意味・読み・例文・類語

ひはまたのぼる【日はまた昇る】

《原題The Sun Also Risesヘミングウェイ長編小説。1926年刊。第一次大戦後のロストジェネレーションとよばれる若者たち生態を描いた、著者代表作一つ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日はまた昇る」の意味・わかりやすい解説

日はまた昇る
ひはまたのぼる
The Sun also Rises

アメリカの小説家ヘミングウェイの名声を一挙に高めた長編小説。1926年刊。第一次世界大戦後のパリで新聞記者ジェイク・バーンズは、戦争中知り合った人妻ブレット・アッシュレイと愛し合っているが、戦傷で不能となったため肉体的に愛を成就(じょうじゅ)できない。ブレットは離婚をしてマイクと結婚することになっているが、多くの崇拝者を従え、ユダヤ人ロバート・コーンと愛していないのに旅に出たりする。スペインパンプロナの闘牛祭でブレットをめぐる男たちの確執頂点に達し、ブレットは天才的闘牛士ロメロと駆け落ちする。結婚を求める若いロメロを破滅させるのを恐れたブレットは自制して別れ、ジェイクを呼び寄せる。第一次大戦後に登場した、いわゆる「失われた世代(ロスト・ジェネレーション)」の生態を如実に描く一方で、戦後の虚無のなかで新しい価値をみいだそうとする倫理性も有する。題名は、『旧約聖書』の引用文に基づくもので、G・スタインが命名し、本書題辞にも掲げた「失われた世代」に対置させた。

[武藤脩二]

『大久保康雄訳『日はまた昇る』(新潮文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日はまた昇る」の意味・わかりやすい解説

日はまた昇る
ひはまたのぼる
The Sun Also Rises

アメリカ合衆国の小説家アーネスト・ヘミングウェーの小説。 1926年刊。パリやスペインを舞台に,第1次世界大戦後アメリカに帰らずパリなどにたむろしていた「失われた世代」の青年たちを描く。大戦で負った傷のため不能になった男を視点的人物に据え,その恋人の元篤志看護師や彼女をめぐる男たちを登場させた不毛の愛の物語で,簡潔な文体と巧みな会話と相まって刊行後ただちにベストセラーとなった。表題は旧約聖書伝道の書』の「空の空,一切は空」のあとに続く句からとったもの。

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