2013年(平成25)1月から2020年(令和2)10月まで存在した、成長戦略を進めるための政府機関。内閣総理大臣であった安倍晋三(あべしんぞう)のきもいりで、2012年末の閣議決定に基づき、内閣に設置された。内閣総理大臣が議長を務め、全閣僚で構成。所管大臣は経済再生担当国務大臣で、内閣官房が事務局を務めた。下部組織の産業競争力会議(2013年1月~2016年6月)や未来投資会議(2016年9月~2020年10月)などが提案した規制緩和、税制、産業政策などをまとめて、毎年夏に成長戦略(日本再興戦略)を決定したほか、重要政策の表明の場として活用された。なお、同様な組織に、内閣府設置法に基づく経済財政諮問会議があるが、経済財政諮問会議が金融改革や税・財政などのマクロ経済政策を担うのに対し、日本経済再生本部は企業の国際競争力を高めるためのミクロ政策の司令塔であるとの説明がなされることが多い。しかし、その実態は、経済財政諮問会議を重用した小泉純一郎政権とは異なる特色を打ち出すために日本経済再生本部を設置した経緯があり、日本経済再生本部は税制優遇などについても扱った。また、財務省の影響力を抑えるため、事務方に経済産業省の官僚を重用し、経産省色の強い組織という特色があった。
安倍は2012年、自民党総裁就任直後に党内に日本経済再生本部を設け、内閣総理大臣につくと内閣にも設置し、政府・与党双方に同名の組織を設けた。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を表明(2013年)したのを皮切りに、国家戦略特区の導入(2013年)、医療・農業・雇用などの岩盤規制の緩和(2013~2015年)、IR(統合型リゾート)の整備検討(2014年)、企業統治指針の導入(2014年)、女性の活躍推進(2014年)、取引所の総合取引所化(2018年)、70歳までの就業機会の確保(2019年)、兼業・副業など働き方の柔軟化(2020年)などを相次いで打ち出した。ただ、政府内で会議体が乱立ぎみとなったため、2020年の菅義偉(すがよしひで)政権誕生直後に廃止された。
[編集部 2021年12月14日]
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