直証的なもの、つまり精神の同意をただちに獲得しうるもののもつ性格。ある命題はその意味が精神に直接的に明らかであり、かつそれが真か偽かを問うて、その真であることがすこしも疑いえないとき、明証的であるという。明証が客観的に精神の直接の対象である観念や命題それ自体のもつ性格であるのに対して、確実性はそうした対象を知覚する精神の主観的な状態をさす。この意味で、明証性と確実性とは同一の事態についての二つの異なった表現にほかならない。代表的観念idées représentatives(フランス語)の理論にたてば、精神の直接の対象は観念であるが、精神に直接現前するのは外的対象そのものであるとする説もある。「明証とは対象そのものの意識への現前である」(サルトル)。デカルトは観念の明晰(めいせき)判明であることを真理の基準としたが、このような真理観は一般に明証説Evidenztheorie(ドイツ語)とよばれ、現代ではフッサールの現象学において継承されている。
[坂井昭宏]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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