(読み)すばる

精選版 日本国語大辞典 「昴」の意味・読み・例文・類語

すばる【昴】

[一] おうし座にある散開星団プレアデスの和名二十八宿西方第四宿で昴(ぼう)。距離四〇八光年。肉眼で見えるのは六個で、六連星(むつらぼし)ともいう。統(す)べる星の意で、古くから王者の象徴、農耕の星として尊重された。九曜の星。すばるぼし。すまる。すまるぼし。大梁。〔十巻本和名抄(934頃)〕
[二] (スバル・昴) 文芸雑誌。明治四二年(一九〇九)一月から大正二年(一九一三)一二月まで全六〇冊刊行。「明星」廃刊後石川啄木、木下杢太郎、吉井勇らが森鴎外を指導者として発刊。詩歌中心で新ロマン主義思潮の拠点となった。命名は鴎外で毎号「椋鳥(むくどり)通信」をのせ、「青年」「雁」などを掲載した。大正三年以降「我等」が継承。

すまる【昴】

すばる(昴)(一)〔日本釈名(1699)〕

ぼう バウ【昴】

二十八宿の一つ。西方に位するもの。おうし座のプレアデス星団付近をいう。昴宿。すばる。

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デジタル大辞泉 「昴」の意味・読み・例文・類語

すばる【×昴】

《動詞「ばる」から》二十八宿の一、昴宿ぼうしゅくの和名。牡牛座おうしざにあるプレアデス星団で、肉眼で見えるのはふつう6個。六連星むつらぼし。→ぼう
(「すばる」と書く)⇒すばる望遠鏡
[補説]書名別項。→スバル

ぼう〔バウ〕【×昴】

二十八宿の一。西方の第四宿。散開星団プレアデスをさす。すばる。むつらぼし。昴宿。

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改訂新版 世界大百科事典 「昴」の意味・わかりやすい解説

昴 (すばる)

〈すまる〉ともいう。西洋名のプレヤデス星団のこと。二十八宿では昴宿(ぼうしゆく)にあたる。すばるの語意はとうに忘れられてきたが,江戸の国文学者狩谷棭斎,平直方などの考証により,これは〈統(す)べる星〉の意味で,六星が糸で統べたように集まったものとするのが定説となっている。すなわち,《古事記》の神話に五百津之美須麻流之珠(いおつのみすまるのたま),《万葉集》に須売流玉(すまるのたま),906年(延喜6)の《日本紀竟宴和歌》に儒波窶(すばる)の玉などとある,上代人の髪や手首の玉飾を,この星団に名づけたもので,〈すまる〉が転じて〈すばる〉となったとみられる。しかし,星の名の文献としては,源順の《和名抄》がもっとも古く,〈昴星 宿曜経(すくようきよう)云昴星ハ六星,火神也,音与卯同。和名須波流〉とある。次いで清少納言の《枕草子》に〈星はすばる……〉とあるのが広く知られている。くだって江戸時代,安永年間(1772-81)刊の《物類称呼》には,〈昴ぼう すばると云(いう),二十八宿の内也。東国にて九ようの星と云,江戸にては,むつら星と云〉とある。現在でも,すばる,すまるの名は,関西,中国,四国,九州一円に行われているが,原意は江戸以前すでに忘失されたため,なまって〈すわり星〉〈すわり〉〈つばる〉や,〈すまり〉〈すもり〉などとなり,多くは寒夜の空にすくんでいるように見えるための名として,熊本地方には〈すわり地蔵〉の名もある。すばるが農耕の星として重んじられたことは,古代の中国やギリシア,現在の南方の島々でもすべてそうで,日本もその例外ではなかった。漁業にも,イカの集りなどを知るのに用いられている。したがって方言も数十に及び,俚諺(りげん)も豊富である。
プレヤデス星団
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日本の企業がわかる事典2014-2015 「昴」の解説

正式社名「株式会社昴」。英文社名「SUBARU CO., LTD.」。サービス業。昭和47年(1972)「有限会社教学社鶴丸予備校」設立。同49年(1974)「有限会社鶴丸予備校」に改称。平成3年(1991)株式会社化にともない、現在の社名に変更。本社は鹿児島市加治屋町。学習塾。主力は中学生対象の集団指導塾。鹿児島県地盤で九州地区最大手。小学生・高校生向け指導も行う。JASDAQ上場。証券コード9778。

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デジタル大辞泉プラス 「昴」の解説

昴〔劇団〕

日本の劇団。現代演劇協会傘下にあった劇団「雲」と劇団「欅」の発展的解消・合併により、1976年に創設。第1回公演は、アルベール・カミュの「カリギュラ」。福田恆存、小池朝雄らを中心として、東京都文京区の三百人劇場を拠点に活動した。2006年の同劇場の閉鎖に伴い現代演劇協会の傘下を離れ、荒川秀樹を理事とする一般社団法人となる。所属俳優に内田稔、北村総一朗、石田太郎、小沢寿美恵など(退団・物故者含む)。

昴〔漫画〕

曽田正人による漫画作品。天才女性バレリーナを描く大河物語。続編に「MOON―昴 ソリチュード スタンディング」がある。『ビッグコミックスピリッツ』2000年第2・3合併号~2002年第49号、2007年第36・37合併号~2011年第47号に連載。小学館ビッグコミックス全11巻+全9巻。2009年黒木メイサ主演で「昴―スバル―」のタイトルにて映画が公開された。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【おうし座(牡牛座)】より

…略号Tau。黄道星座の一つ。V字形のヒヤデス星団が牛の顔,数個の星の集りに見えるプレヤデス星団が牛の肩になる。ギリシア神話では,大神ゼウスがフェニキアの王女エウロペのもとに通う時の化身の姿であるという。星空では天の川沿いにオリオンと向きあう。α星アルデバランは赤色巨星で〈あとに従うもの〉の意。プレヤデス星団に続いて東の地平線をのぼる星だからであるが,この星の和名〈あとぼし〉あるいは〈すばるのあとぼし〉は同一の発想に基づくものである。…

【プレイアデス】より

…ギリシア神話で,ティタン神アトラスとプレイオネPlēionē(オケアノス〈大洋〉の娘)の7人の娘,アルキュオネAlkyonē,メロペMeropē,ケライノKelainō,エレクトラĒlektra,アステロペAsteropē,タユゲテTaygetē,マイアMaia(伝令神ヘルメスの母)の総称。彼女たちはその母とともにボイオティア地方の森の中で,狩人のオリオンに5年にわたって追われつづけたため,これを憐れんだゼウスが母娘も追手もともに天に上らせ,オリオンを犬を連れた狩人の星に,娘たちをそのオリオン星から逃れようとする7羽の鳩(古代ギリシア語でペレイアデスpeleiades)の星(和名は昴(すばる))に化したという。プレイアデスの名はのちにプトレマイオス2世(前3世紀)治下のアレクサンドリアに集まった多くの悲劇詩人のうち,リュコフロンらの特にすぐれた7人の称として用いられた。…

【プレヤデス星団】より

…一つ星が足りないのは流れ星になったのだという伝説がある。〈すばる(昴)〉ということばは清少納言の書いた《枕草子》にも出ているように古くから親しまれている日本名である。この星団の星々は数千万年前に誕生したもので,非常に若々しい青白い星々が多い。…

【星】より

…その中の代表的なものを五十音順に示した。なお,〈明の明星〉〈すばる(昴)〉〈北斗七星〉〈宵の明星〉はそれぞれの項目を参照されたい。天津赤星(あまつあかぼし)《旧事紀》の天神本紀にある。…

※「昴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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