日本大百科全書(ニッポニカ) 「智通」の意味・わかりやすい解説
智通
ちつう
生没年不詳。飛鳥(あすか)時代の法相(ほっそう)宗の僧。658年(斉明天皇4)智達(ちたつ)(生没年不詳)とともに新羅(しらぎ)の船で入唐(にっとう)し、玄奘(げんじょう)およびその弟子基(き)(窺基(きき))に師事した。法相宗は四度にわたって日本に伝わったが、最初に伝えた元興寺(がんごうじ)の僧道昭(どうしょう)に次いで、智通、智達はその第二伝とされる。初伝、二伝は中国法相宗の初期のものを伝え、元興寺伝、南寺伝などとよばれる。大和(やまと)(奈良県)に観音(かんのん)寺を創して住し、674年(天武天皇3)僧正に任ぜられた。また同年、大和に金剛山寺を開いたともいう。
[田村晃祐 2017年9月19日]