智頭(読み)ちず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「智頭」の意味・わかりやすい解説

智頭(町)
ちず

鳥取県南東部、八頭(やず)郡にある町。1914年(大正3)町制施行。1935年(昭和10)山形(やまがた)、那岐(なぎ)、土師(はじ)の3村と合併、1936年富沢(とみざわ)村、1954年山郷(やまさと)村を編入。JR因美(いんび)線、智頭急行、国道53号、373号が通じる。中心の智頭は『日本後紀』の古駅「道俣(みちまた)」と推定され、江戸時代には上方(かみがた)往来宿場町。中国山地に位置し、町域の90%は山地。天然のスギブナミズナラを対象樹種とする沖ノ山(おきのせん)林木遺伝資源保存林がある林業地である。智頭にある諏訪神社(すわじんじゃ)の柱祭り(県指定無形民俗文化財)には杉丸太を若者が担いで町を練り歩く。また、杉の霊を祀(まつ)る杉神社がある。新見(にいみ)の豊乗寺(ぶじょうじ)には平安時代の絹本着色普賢菩薩(ふげんぼさつ)像(国宝、東京国立博物館寄託)などがある。岡山県境は氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園の一部。面積224.70平方キロメートル、人口6427(2020)。

[岩永 實]

『『智頭町誌』上下(2000・智頭町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「智頭」の意味・わかりやすい解説

智頭[町] (ちず)

鳥取県南東部,八頭(やず)郡の町。人口7718(2010)。町名としては〈ちづ〉と表記する。千代せんだい)川の上流域に位置する。町域の多くを中国山地が占め,東山,那岐(なぎ)山などの山々がそびえる。千代川支流の土師(はじ)川,新見川の合流点の小盆地に中心集落の智頭があり,古くから山陰山陽,近畿を結ぶ交通の要地として発達した。近世は戸数約200,駅馬22匹が置かれた宿駅で,六斎市が立ち,茶,紙などの取引でにぎわった。藩政初期から造林が盛んで智頭杉の産地として知られる。国宝の絹本著色普賢菩薩像などの寺宝を有する豊乗(ぶじよう)寺がある。町域の一部は氷ノ山(ひようのせん)後山那岐山国定公園に含まれる。JR因美線,智頭急行智頭線,国道53号線,国道373号線が通じる。
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百科事典マイペディア 「智頭」の意味・わかりやすい解説

智頭[町]【ちづ】

鳥取県南東部,八頭(やず)郡の町。岡山県に接し,千代(せんだい)川上流域を占める。中心の智頭は藩政時代の宿場町で,林業と製材業は山陰有数,付近はスギの造林が多い。因美線,智頭急行,鳥取自動車道が通じる。岡山県境の那岐山(なぎさん)は氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園に属する。224.70km2。7718人(2010)。

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世界大百科事典(旧版)内の智頭の言及

【鳥取[県]】より

…鳥取県はかつては因伯牛の産地として知られたが,1957年を境に衰退し,代わって酪農,養豚,養鶏の比重が高まっている。林野は県域の3/4(1995)を占め,なかでも現,智頭(ちず)町は江戸時代以来,西日本有数の林業地で,製材工場が数多く立地している。かつて盛んだった木炭の生産は衰退し,近年は山村でシイタケ栽培が活発である。…

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