武装蜂起(ほうき)や内戦など軍事的衝突局面を経ない政治革命のことで、暴力革命の反対概念。転じて、暴力革命不可避の立場にたたない革命を目ざす考え方。近代革命の歴史的経験は、ほとんど例外なく旧国家の軍隊・警察による暴力的抑圧と革命的民兵組織や民衆の武装蜂起による対抗権力樹立の形態を局面的にしろ経過してきたため、革命の平和的勝利を考えること自体が無意味であり無力であるとされてきた。マルクスは、普通選挙権の拡大しつつあったイギリスでの労働者階級の選挙での勝利を示唆したし、エンゲルスも19世紀末のドイツ社会民主党の急成長のもとで「バリケードによる市街戦は時代遅れとなった」と述べたりしたが、基本的には暴力革命不可避の見通しにたち、レーニンの『国家と革命』はこれを社会主義革命論として一般化した。レーニンとロシア革命に対抗した社会民主主義勢力は、平和革命を口では唱えながら資本主義体制内での改良にとどまり、スターリンに指導された共産主義勢力は暴力革命不可避論を墨守した。ようやく1956年のスターリン批判後、共産主義勢力も先進国での議会を通じての平和革命の可能性を承認したが、皮肉なことに、20世紀の平和革命の典型となったのは、1989年東欧革命のなかでのポーランドやハンガリーにおける自由選挙による反共産主義革命であった。
[加藤哲郎]
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