木材の所有もしくは所属を示すために木に切り刻む印。一般には伐採した木を,川を流したり,いかだに組んだりして搬出するに際し,木の所有を明確にすることが必要なため刻む。木に直接なたや斧で切りつけて刻むので,ごく単純な直線状の印であることが多い。十文字や×印,あるいは△印を基本とし,それらを組み合わせたり,それらに別の線を加えることでさまざまな印を作った。その場合,分家は本家の印に一部変更を加えることで自分の家の木印とすることが多かった。木印はごく短期間の使用のため簡単に目印として付けるものであるが,より長期的に所有権や占有権を示すためのものとして焼判がある。焼判は道具類や履物に押されるもので,そこに示された家の印(家印)は木印よりはよほど複雑で,○(まる),∧(やま),┐(かぎ)などに数字や文字を入れるのが一般的である。しかし,明らかに木印を原型にもっているものや木印から変化したものも少なくない。
執筆者:福田 アジオ
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伐採した木材に刻み込む占有標識。「刻み目」の組合せで一定の「型」が個別に生じ、仲間内の弁別に資した。とくに流木による一括集材にはこれが必要であった。また共有山野の薪山、草山の区分標示などにも、立ち木や杭木(くいぎ)に特定の「刻み目」をつけて占有の標示とすることもあった。キダ、ケダなどともいい、斧(おの)、鉈(なた)の「刻み目」の組合せで生ずる簡素な占有標示は、「焼き印」による自家所有標示のための「家印」にもつながるところで、むしろその原形をしのばせるものがある。とくに山中に隔絶した仲間生活を送ってきた伐木職人仲間には久しく慣用されて、自己伐採材の標示となり、また「伐木伝票」の自己標示としても「木印」は用いられ、ときには伐採小屋の自己所有物の標示にも、それが転用されていた。放牧の牛馬につける「耳印」とともに、占有標識の原初的な姿をとどめるものであり、「家印」や「紋章」の発生を示唆するものともいえよう。
[竹内利美]
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