各家の所有を示す占有標のこと。広義には木印、耳印、窯印、帆印なども含むが、一般には各家庭で用いる道具や下駄(げた)、傘など、家財につける印をいう。墨で書くこともあるが、のちには焼き印を用いるようになった。┐○∧など、簡単な印に家名の文字などを組み合わせたものが多い。家印には、本家・分家関係を表すものもあり、同一系統の印をつけることにより、同族意識を強調したものであろう。家紋も家印の一種であるが、これは公家(くげ)が牛車(ぎっしゃ)などにつけた装飾的要素の強い印から、江戸時代に武家の紋章となり、一般に伝播(でんぱ)したもので、庶民の共同生活のなかから必然的に生じた家印とは、その発生においてやや性格を異にしている。しかし武家が用いた動機は他と識別することであり、家印の要素と同一である。
[鎌田久子]
『『北小浦民俗誌』(『定本柳田国男集 25』所収・1964・筑摩書房)』
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…木印はごく短期間の使用のため簡単に目印として付けるものであるが,より長期的に所有権や占有権を示すためのものとして焼判がある。焼判は道具類や履物に押されるもので,そこに示された家の印(家印)は木印よりはよほど複雑で,○(まる),∧(やま),(かぎ)などに数字や文字を入れるのが一般的である。しかし,明らかに木印を原型にもっているものや木印から変化したものも少なくない。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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