末梢性筋弛緩剤(読み)マッショウセイキンシカンザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「末梢性筋弛緩剤」の解説

末梢性筋弛緩剤

製品名
《ダントロレンナトリウム水和物製剤》
ダントリウム(オーファンパシフィック)

 筋肉と神経の接合部にはたらきかけて、筋肉・神経間の伝達を妨げるとともに、筋肉から遊離するカルシウム(筋肉を収縮させ、痛みを発生させる物質)を減少させる作用のある薬です。このため、筋肉の痛み、こわばり、緊張、けいれんなどの症状を解消してくれます。効果が強力で、作用が持続する薬です。


 脳血管障害後遺症脳性麻痺まひ外傷後遺症頭部外傷脊髄せきずい損傷)、頸部脊椎症けいぶせきついしょう後縦靱帯こうじゅうじんたい骨化症筋萎縮性側索硬化症きんいしゅくせいそくさくこうかしょう脊髄小脳変性症痙性けいせい脊髄麻痺脊髄炎脊髄症多発性硬化症スモンでおこった筋肉のけいれん性麻痺潜水病全身こむら返り病悪性症候群などの治療に使います。


①過敏症状(湿疹様しっしんようじんましん様の発疹ほっしんなどのアレルギー症状)、日光過敏症(皮膚の直射日光が当たる部分に、湿疹、じんましんなどが出る)、ショック、アナフィラキシー黄疸おうだん肝障害PIE症候群発熱、せき、呼吸困難など)、胸膜炎、イレウス呼吸不全がおこることがあります。このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②脱力感、倦怠感けんたいかん(だるさ)、ふらふら感、下痢、食欲不振、吐き気胸痛、血液障害、ねむけ、めまい、言語障害、頭痛、発疹頻尿、肝機能障害といった症状がおこることがあります。このような症状がおこったときは、医師に相談してください。


③検査をしないとわからない副作用(血液障害など)がおこることがあるため、医師から指示された検査は必ず受けてください。


①カプセル剤で、食後服用が原則です。ただし、1日あるいは1回の服用量・服用時間・服用回数、服用期間については医師・薬剤師の指示を守り、かってに中止したり、減量・増量しないでください。また、必ずコップ1杯以上の水で飲んでください。


②あらかじめ問診の際に、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項をきちんと守ってください。


 とくに、過敏症をおこしたことのある人、気管支喘息ぜんそくなどの閉塞性へいそくせい肺疾患や心臓病による重い肺機能低下、肝疾患のある人、筋無力症状のある人は使用できません。また、過去に肝障害または肝機能障害のあった人、じん障害、慢性の下痢、イレウスのある人は、必ず医師に報告してください。


③妊婦あるいは現在妊娠している可能性がある人、母乳で授乳中の人は、あらかじめ医師に伝えてください。使用するようにいわれた場合は、医師の指示をより厳重に守ってください。


④ねむけ、注意力・集中力・反射運動の低下などがおこることがあるので、自動車運転や危険を伴う作業は避けてください。


⑤筋弛緩剤を使用する病気は、一般的に治療期間が長期にわたることが多く、筋弛緩剤の使用も長期に及びます。筋弛緩剤には多少の相違はあっても、めまい、ふらつき、倦怠感けんたいかんといった神経に対する副作用を伴うので、ほかの神経作用剤の併用には、十分注意する必要があります。とくに高齢者は気をつけてください。


 現在ほかの薬を使っていたり、この薬を使用中にほかの薬を使用する必要が生じたときは、必ず医師に相談してください。とくに、エストロゲン製剤〔卵胞ホルモン剤〕と併用すると肝障害が、ほかの筋弛緩剤と併用すると副作用が現れやすくなります。

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