日本大百科全書(ニッポニカ) 「本川根」の意味・わかりやすい解説
本川根
ほんかわね
静岡県北西部、榛原郡(はいばらぐん)にあった旧町名(本川根町(ちょう))。現在は川根本(かわねほん)町の北部を占める。旧本川根町は1956年(昭和31)東川根と上川根の2村が合併して町制施行。2005年(平成17)中川根(なかかわね)町と合併して川根本町となった。旧町域は大井川とその支流寸又川(すまたがわ)に沿う山間地。北は長野県に接し、赤石山脈(あかいしさんみゃく)が前山地帯に移る地で、南アルプス国立公園の一部をなす。大井川鉄道、国道362号が通じる。耕地は全面積の0.7%にすぎず、97%が山林である。林業を主産業とし、かつて焼畑であった斜面に茶を栽培し、日照時間の短さ、川霧の発生などの気候条件は、良質な川根茶を生み、その名を高めている。大井川、寸又川のつくる深い谷や蛇行は接岨峡(せっそきょう)、寸又峡の渓谷美を形成、また自然美とともに温泉が楽しめる。南アルプスの登山基地でもあり、蒸気機関車の全線運転や日本で唯一のアプト式鉄道など、地方鉄道の特色が生かされて観光客も増加している。
[川崎文昭]
『『本川根町史』全10巻(1980~2005・本川根町)』