改訂新版 世界大百科事典 「川根本町」の意味・わかりやすい解説
川根本町[町] (かわねほんちょう)
静岡県中部,榛原(はいばら)郡の町。2005年9月中川根町と本川根町が合体して成立した。人口8074(2010)。
中川根
川根本町南西部の旧町。榛原郡所属。人口6431(2000)。中央部を大井川が南流し,川沿いに集落が立地し,大井川鉄道と国道362号線が通じる。中心集落は上長尾。町域の大部分は赤石山脈南部の山地で,9割が山林である。古くから川根茶と呼ばれる良茶の産地として知られる。林業も盛んで杉,ヒノキの良材とシイタケを産する。近年,自動車計器組立工場やサンダル製造工場も進出。北西部の山地にはモミ,ツガ,ブナなどの原生林が残り,奥大井県立自然公園の一角を占めている。徳山の浅間神社で毎年8月15日に行われる盆踊に,〈鹿ん舞(しかんまい)〉などの郷土芸能が伝わる。
本川根
川根本町中北部の旧町。榛原郡所属。人口3354(2000)。大井川上流域に位置し,北は長野県に接する。町域のほとんどが赤石山脈南部の山地で,耕地は全面積の1%に満たない。大井川と町のほぼ中心部を南流する支流の寸又(すまた)川沿いに小集落が点在し,中心地は千頭(せんず)。大井川水系の電源開発のために1931年大井川鉄道が開通し,さらに国道362号線など道路が整備され,豊富な森林資源の開発が進んだ。川根茶として知られる茶やシイタケ,木材の生産を主体とした農林業が行われる。北部は南アルプス国立公園,その南は奥大井県立自然公園に属し,寸又峡,寸又峡温泉(単純硫黄泉,43℃)などの景勝地に恵まれる。
執筆者:萩原 毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報