川根本(読み)かわねほん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「川根本」の意味・わかりやすい解説

川根本(町)
かわねほん

静岡県北西部、榛原郡(はいばらぐん)にある町。大井川とその支流寸又川(すまたがわ)に沿う山間に位置し、北は長野県、東は静岡市、西は浜松市、南は島田市にそれぞれ接する。2005年(平成17)同郡中川根町(なかかわねちょう)、本川根町(ほんかわねちょう)が合併して成立。北にそびえる光岳(てかりだけ)(標高2592メートル)は南アルプス国立公園の一部をなす。地形は変化と起伏に富み、町域の約90%が森林という山がちの町。大井川鉄道、国道362号、473号が通じる。江戸時代からの伝統をもつ林業を主産業とし、スギヒノキの産地として有名。また、同じく伝統ある茶が農業生産額の多くを占めており、良質な川根茶の産地として知られる。2002年(平成14)長島ダムが接岨(せっそ)峡下流に完成。光岳の南西側、大井川源流部は本州で唯一の原生自然環境保全地域、大井川上流は奥大井県立自然公園に指定される。大井川、寸又峡の渓谷美を縫って走る大井川鉄道は、SL運転の大井川本線と日本で唯一のアプト式鉄道の井川線(南アルプスあぷとライン)など地方鉄道の特色を打ち出して成功。千頭(せんず)駅周辺にSL資料館、音にまつわる博物館「音戯の郷(おとぎのさと)」がある。温泉やキャンプ場など、観光施設も多い。近世初期の古歌舞伎のおもかげを伝える徳山盆踊(とくやまのぼんおどり)は国指定重要無形民俗文化財。大井川は古代から、東岸の駿河(するが)国と西岸遠江(とおとうみ)国を分けていた。江戸時代の大井川は架橋、渡船、通船が許されず、川越(かわごし)制度が維持され、通船許可がおりたのは1870年(明治3)であった。大井川中流東岸、田代(たしろ)のヌタブラ遺跡では県内最古級の約3万年以前と推定される旧石器時代の石器群が発見されている。面積496.88平方キロメートル(境界一部未定)、人口6206(2020)。

[編集部]


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百科事典マイペディア 「川根本」の意味・わかりやすい解説

川根本[町]【かわねほん】

静岡県中央部,赤石山脈南部を占める榛原郡の町。町内を大井川が南流する。2005年9月,榛原郡中川根町,本川根町が合併し町制。大井川鉄道,国道362号線,473号線が通じる。496.88km2。8074人(2010)。

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