中国出身の理論物理学者。上海(シャンハイ)に生まれる。中国で大学教育を終えたのち、アメリカに渡り、シカゴ大学でフェルミの下に学び、1950年学位を取得した。1951年プリンストン高等研究所に入り、1955年コロンビア大学に移り、翌1956年学部内で最年少の教授となった。プリンストン時代、場の理論などの困難な問題を明解に解いた彼の研究を所長のオッペンハイマーが絶賛したことはよく知られている。1956年、楊振寧(ようしんねい)とともに、素粒子の「弱い相互作用」は、空間反転で不変でないという「パリティ非保存」の理論を提出した。1957年コロンビア大学のウーWu Chien Shiung(1912―1997)が、極低温にして偏極させたコバルト60から放射される電子の角度分布を測定し、「パリティ非保存」を検証。同年、李は楊とともに「パリティに関する法則の研究」によりノーベル物理学賞を受賞した。研究分野は多彩で、高温超伝導の分野にも貢献した。
[山崎正勝]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報