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日本の近世において,村の範域内にその村の耕地を集中すること。近世前期の検地により達成された。検地以前にも集落と耕地の関係には一定の地域的なまとまりはあったが,それは緩やかであった。検地以前には村ごとに耕地を集中するという原則が存在せず,各個別経営ごとに適所に耕地を展開させていたからである。検地により村の範域が定められると,その範域内の耕地だけがその村に属することとなり,範域外の耕地は他村のものになった。〈むらぎり〉は主として〈村限(むらぎり)〉であって,村ごとに耕地を集中することであるが,そのためには村内外の耕地を交換したり,切り捨てたりする必要もあり,ために〈村切〉の語があてられたのであろう。村切はおおむね順調に行われたが,耕地の入組みがはなはだしい場合には必ずしも徹底せず,前期には境相論(耕地の帰属をめぐる争い)が激発した地域も少なくない。
執筆者:木村 礎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
江戸時代の土地用語。検地によって村境を確定して村域を定めること。村切の語は1594年(文禄3)の太閤検地条目にあり,以後,江戸初期の検地を通じて進められた。村切による近世村落の形成は比較的順調に進められたといわれるが,場所によっては錯綜した複雑な関係を一掃できず,村境をめぐる紛争がひきおこされた地域もあった。なお中世以来の村落間の出入作の整理を村切ということもある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…前者の範域の境はもともとは必ずしも明確なものではなかったと思われるが,中世の惣村(惣(そう))の展開のなかで他のムラとの境界がしだいにはっきりとしてきた。そして,近世初頭の検地とそれに伴う村切は,百姓の耕作する田畑を必ずどこかの村に帰属させ,検地帳に登録したので,支配単位としての近世の村に属する田畑は地図に示すことができるようになり,その境界も明確となった。この範域は原則的に地租改正に引き継がれ,現在の大字(おおあざ)の範囲となっている。…
※「村切」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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