細長い胴の中央がくびれた砂時計型の両面太鼓。朝鮮の伝統音楽の代表的な楽器の一つで,唐楽と郷楽の宮廷音楽で用いられ,現在では正楽をはじめ,散調,雑歌,民謡,農楽,巫楽にいたるまで広範囲に使用される。細腰鼓(さいようこ)ともいう。全長約70~73cm,細腰部20~23cmが標準で一木作りの胴。左右の鉢形は,左の方が大きい。革面はいわゆる鼓(つづみ)と同様の方法で,円形の鉄の輪に張って作られ,直径約36~40cmで胴の端の直径より大きい。両革面の間に胴を入れて紅色の木綿糸で作った太く長い紐で締めるが,革面の縁につけられた8個ずつの金具に紐を交互に渡して締める。音高を調節するためV字形の小さな革ベルトを締め紐に付けてある。演奏法は,雅楽と室内の音楽では,床に置いて一方の膝で固定し,左手は手のひらと指で,右手は桴(ばち)(杖)を持って打つ。農楽など野外で行われる音楽のリズムを打つときは肩から前に紐でつり,左手も太い桴で打つ。
執筆者:草野 妙子
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朝鮮半島のもっとも代表的な両面太鼓で、ほとんどの朝鮮音楽の伴奏に用いられる。細腰鼓(さいようこ)ともいう。70センチメートルほどの砂時計型の胴体の両端に、円形の鉄枠(鉤鉄)に張られた皮面を当て、紅真糸製の紐(ひも)(縮縄)で互いに締め付ける。この縮縄を左右に移動させ張力を変えることによって、音を調節する。胴体はキリの一木製を理想とし、皮は右は薄い馬皮を、左は厚い生白皮(とくに白馬のものがよい)を用いる。通常、右面は竹製の桴(ばち)(杖)でたたき高音を、左面は左手のひらでたたき低音を出す。また、左手に木槌(きづち)を用いてたたくのはソル杖鼓といい、おもに農楽、巫(ふ)楽に使われる。
杖鼓によって奏される基本的なリズム型は長短(チャンダン)とよばれ、各長短には、チンヤンジョ(緩)、チュンモリ(中庸)のように名称があり、テンポもほぼ決まっている。奏者は、長短とその変奏を駆使し、音楽を構成する。長短には3拍子を基本にしたリズム型が多い。
[原谷治美]
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…緊張力は膜の取付け方法によって調節可能な場合がある。まず膜の周囲を枠状のものに巻き付け,次にその枠を紐や革帯などで胴にかがり付けた後,胴と革帯の間に楔(くさび)の機能を果たす丸棒などを挟んで締めぐあいを調節する方法(タブラ,ムリダンガ)や,金属の輪や紐などによって,紐や革帯をしぼって緊張度を加減する方法(インドネシアのクンダン,朝鮮の杖鼓(じようこ),日本および中国の羯鼓(かつこ))などを用いて音高を整えるほか,脇の下に太鼓を挟み,演奏中に腕で紐を押しつけて音高を変える方法(アフリカのルンガlunga)もある。しかし最も繊細であるのは日本の小鼓(こつづみ)に見られる,一打ちごとに行われる調緒(しらべお)の締め加減の微妙な調節であろう。…
…
[歴史]
鼓はインドで発生したらしい。中国に伝わって細腰鼓(さいようこ)と総称され,胴の材に木・銅・土を用い,隋・唐代には腰鼓(ようこ),都曇鼓,毛員鼓(もういんこ),一鼓(いつこ)(壱鼓),二鼓,三鼓(三ノ鼓(さんのつづみ)),四鼓,杖鼓(じようこ)等があったが,宋代以後衰えた。杖鼓は杖(桴(ばち))で打つ鼓で,革面の片方が子牛皮,もう一方がヤギ皮というように異種を用いた。…
※「杖鼓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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